盆栽と苔の関係と良い苔の見分け方 

盆栽に馴染みの深い苔ですが、その種類は多く、日本では1500種類以上のものがあるといわれています。
一般的な植物とは少し離れた性質のある苔について学びます。

目次

苔の種類と盆栽に良い苔

盆栽に良いとされている苔の条件は、鉢土を美しく覆いながら根の育成も妨げないものです。
木は日当たりのいいところで育てるので、日光に強いというのも大切なポイントです。

盆栽と相性がよく好まれている苔にはビロウドゴケ、ヤマゴケ、ハイゴケなど様々な種類があります。
白っぽく短い丈で密集して育つビロウドゴケは、乾燥気味の松柏類の盆栽によく茂ります。
水やりが適量だと、色鮮やかに茂り、水が不足すると白く変わるので、灌水のバロメーターになります。
また、鉢の上で鮮やかに広がるスナゴケは、好日性で繁殖力も高いので人気があります。

盆栽に合わない苔と水苔について

盆栽に悪いといわれる苔の代表はゼニゴケです。
海藻のような姿が特徴で日当たりが悪くジメジメした場所に繁殖し、鉢土の上に増殖すると盆栽の根の活動を阻害します。
水が多いとたちまち増えていきますが、乾燥するとすぐに枯れます。

このように日陰で育つ苔は盆栽には向きません。
日光が当たって色が悪くなったり、逆に異常に茂り根の生長の邪魔をしたりするので、苔の性質を見極めながら育てたり取り除いたりしましょう。

上記にあるような苔とは別に、盆栽作りでは水苔というものを使用することが多いです。
水辺の湿地帯に生えている苔を採取し乾燥させたものです。
これは鉢土の上に貼って飾りにするのではなく、水で戻して植え替え時の木の保護剤として使ったり、苔玉作りの形を作ったりするために、盆栽材料として使用するものです。

苔のつけ方と増やし方

本来、苔は胞子を飛ばしながら移動し付着したところで増えていくものなのですが、盆栽作りでは苔のかたまりを意図する場所へ貼りつけていきます。
苔が山型に連なるように、苔のへりを下へ押し込みながら貼っていくと綺麗に仕上がります。
貼りつけ後乾燥してしまうと、土と苔の間にすき間ができて根が育たないので、水は切らさないように注意します。

苔の胞子をばらまく方法もあります。
土を取り除いた苔を紙の上でバラバラにほぐし、乾燥させることで胞子を採取できます。
これを土の上に満遍なく振りかけると1か月ほどで綺麗に茂ってきます。
胞子は高い湿度で育ちますので梅雨時期での作業をおすすめします。

苔を石につける方法

バケツに水と液体肥料を適量入れ、その中に石を沈めて2~3日してから引き揚げます。
日当たりのいい場所へ置き、毎日水やりをするとやがて苔が生えてきます。
日陰へ置いてしまうとゼニゴケが発生する原因になるので必ず日光の当たる場所で管理しましょう。

盆栽への苔貼りの良い点と悪い点

木の足元を青々とした苔で飾ると木に映え、盆栽を瑞々しいものにしてくれます。
また苔で土を抑え込むので灌水時、水が土に勢いよく当たってしまっても土崩れがなく根を守ってくれます。
ですが苔があまり密集してしまうと鉢土内部の通気が悪くなり、苔が乾いてしまった場合には水をはじくようにもなってきます。
これは根腐れや水切れにもつながるので、状態を見ながら苔の量を調整していくことが必要です。
また、松類の幹の荒皮に苔がつくと、せっかく作り上げた樹皮をはがしてしまうことがあるため、見つけたら早めに取り除きましょう。