黒松・カリン・サツキ盆栽の作り方

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目次

黒松の特徴

海岸沿いに多く自生しているのが黒松です。
繊細な姿の赤松を女松と呼ぶのに比べ、黒松は厳しい環境で生き抜く背景から男松と称されています。
黒松の最大の魅力はなんといっても、ごつごつとした荒々しい幹肌。
亀甲性、岩石性といった幹肌の魅力に、上へ上へと伸びる長い葉は力強さに拍車をかけます。

黒松盆栽の苗の選び方

幹の味わいが素晴らしく、盆栽の王道をいく黒松。
独特の荒れた皮がある苗を選べば将来の楽しみにつながります。
この樹種のただ一つの欠点は、長すぎる葉にあります。
木に比べ葉が長いと全体のバランスが悪くなってしまうからです。
ですから、苗を選ぶときは少しでも葉の小さいものを選ぶといいでしょう。
小ぶりの盆栽を作りたいのであれば、“寸梢クロマツ”がおすすめです。
葉の長さが2cmほどしか伸びないので、プロポーションのいい木に仕立てられます。

盆栽作りで用意するもの

○道具

・剪定バサミ(両刃)

・フルイ(1~6mmで違う目のものが3つあるといい)

・ピンセット(雑草の抜き取りなどに使う)

・細かい作業に使う菜箸や竹べら

・大小違う大きさの土入れ

・股枝切り(刃先の小さいので枝をピンポイントで切れる)

○用具

・銅製の針金(枝の太さに合わせたサイズのもの)

・仕立て用鉢(素焼き鉢や駄温鉢、5号くらいの大きさ)

・ハス口のジョウロ(小さい穴目のもの)

・鉢底用の網

黒松盆栽に合う鉢

古木を思わせるような黒松には、経過した風情を持つ泥ものの鉢が合います。
泥ものの鉢とは釉薬を塗らず焼し締めたもので、長年使い続けると古い趣が出てきます。
有名な黒松の盆栽は大抵、泥ものの鉢と合わせられています。

黒松の盆栽用土の作り方

黒松の植えつけには川砂が最適です。
水はけのよい川砂に植えた木は乾燥気味となるため荒れてきます。
この荒々しさが幹に剛直な風情を出し、素晴らしい盆栽を作り出すのです。

黒松盆栽の作り方と仕立て方

黒松はどのような樹形で作っても風格ある盆栽になります。
土の上で根が八方に広がる木を見つけたら、直幹作りに挑戦してみましょう。

① 作業に入る前は水やりをひかえ、乾かし気味の状態にしておきます。

② 苗の古い土を落とします。
菜箸や竹べらを使って土をすっかり落とし、根をほぐしましょう。

③ 根全体を水平に短く切っていきます。

④ 仕立て用の素焼き鉢に木を植えます。
鉢底の穴に合わせた網を敷き、その上に川砂を入れていきます。
砂の上に木を置いたとき、根が土の表面近くまでくるように川砂を多めに入れておくのがポイントです。

⑤ 木の根元を持ち、鉢に入れたら根を四方八方に均等に広げます。

⑥ 木を固定したまま、川砂をかけていきます。
根の間にも砂がすき間なく入るように注意しておこないましょう。

⑦ 上から砂と木をしっかりと押さえつけ、定着させます。

⑧ 植えつけ後は、たっぷりと水やりをします。
鉢底から水があふれてくるぐらいの量が目安です。

⑨ 根をいじった後は木に負担がかかっています。
風や日当たりのよいところを避け、1週間くらいは半日陰で管理します。

⑩ 寒い時期でしたら、霜のあたらない場所へ移し暖かくなるまで静かに様子を見ます。

⑪ いい直幹の樹形のためには、普段の手入れに工夫が必要になってきます。

・木が生長したら、木の頭の先端を切る。

・根を土の表面に出すようにして、荒々しい根を作る。

・どの枝にもまんべんなく日光をあて、各枝の生育を揃える。

実もの盆栽の代表格カリンはバラ科の樹です。黒っぽい幹肌はうろこ状にはがれて照りのある斑模様を描いています。枝打ちがとても繊細で、小さな葉と春に咲く淡い紅色の花も美しいものです。秋には瓜のような実が少しずつ黄色味を増し、香りが漂ってきます。樹齢が深くなるとその実も大きくなり、盆栽でも10センチほどの黄色い実がまるで枝に突き刺さっているように付く姿が印象的です。その黄色い実の大きさと、天に向かって実が付いているという姿から縁起物ともされています。

実を確実に付けたいなら「一才カリン」を選ぶと良いでしょう。

カリン盆栽に適した場所

カリンは日当たりが大好きなので、日当たりと風通しの良い場所を選びましょう。特に春の3月ごろには花が咲くので、早春の新芽が出始める頃には特に日当たりが必要です。夜間の霜に当てると花や新芽が傷むので、寒冷紗などで霜よけをしておきます。鉢土が凍るように寒い時には防寒をしましょう。真夏の西日は避けられるところに移動します。

夏場の水切れに注意

花芽が付いて開花・結実する5月までも水切れすると、せっかくの実が落ちてしまうので気をつけます。カリンは水を好むので、鉢土が乾いたらそこから流れ出るまで水やりをします。開花中は花にかからないように株元に水をかけるように注意しましょう。水やりの間隔は1日1から2回、夏場は朝晩の2回で冬は土が乾く3日に1回ぐらいを目安にしましょう。

肥料はリン酸分多めの骨粉を活用

若い樹はとにかく樹形をしっかり作るために芽が出る3月から7月まで肥料を与えます。7月で肥料を止めて8月には与えません。9月に再開して11月までまた置き肥します。真夏の時期に肥料を切るのは実の色付きを促進するためです。葉色が黄みがかっている時は肥料があまり効いていない証拠です。

肥料は油かすにリン酸分が多い骨粉を混ぜて使用しましょう。実付きに効果的です。

芽摘みは梅雨時がベスト

花を咲かせるためには芽摘みが必要です。春に伸びてきた枝の先を3芽ほど残してその先を摘み取ると2番目が出てきます。花芽はその2番目に付き、花が付かない徒長した枝や必要ない枝は切り取ります。梅雨時よりも早く摘んでしまうと花芽が付きにくくなるので、6月中旬から7月初旬までが適期です。

カリンの剪定

カリンの花芽分化は7月ごろで、その年に伸びた枝の先に花芽が付きます。短枝の先に実が付くので剪定をしておかないとどんどん枝ばかりが伸びていってしまいます。2月ごろが選定に適した時期で、花芽を確認しながら作業しましょう。花芽が付いていない枝は2節残して切ってしまいます。上方の枝ほどよく伸びて下方は伸び辛いため、下にいくほどに3芽4芽と残す芽を増やして剪定することが大切です。

植え替え時季は2月と10月

芽が出る前と秋に植え替えができますが、カリンはバラ科なので2月の植え替えをおすすめします。バラ科の植物は菌に弱いため秋以降の寒い時期の植え替えがベターですが、10月でも遅くなると根が活着する前に寒さや霜で根を傷める可能性があります。2月なら寒さは厳しくても暖かくなる季節が近いので、植え替えて少しだけ室内に置いてやるのがベストでしょう。1年から2年に1回植え替えるようにしましょう。

用土は赤玉土の単用です。生育が旺盛なので鉢底から根が出ていないか時々確認して、もし出ていたら毎年でも植え替えてやった方が良いですね。

カリンは摘果も大切

大きければ10センチぐらいの実がなるカリンは1か所に複数の実が付くことがあります。でも、それだけ実が付くと樹の勢いが弱ってしまうこともあります。小さな盆栽なら実はえりすぐりの1個だけを残してあとは摘果しましょう。もったいない!と思いますが、それがカリン盆栽のためなのです。

生垣や庭木のツツジの方が一般には知られているかもしれません。「サツキツツジ」とも呼ばれていますが、常緑樹で樹高が低く、日本の寒暖差のある気候で育てやすいのがサツキです。花の種類がとても多く、一本の樹で何種類にも咲き分けたりすることから奥深く愛好者も多い樹種です。春先に枝を1本残らず切ってもまた芽が出る驚異の生命力で、育てやすく樹形も作りやすいので初心者にぜひ育ててほしい盆栽です。

サツキ盆栽置き場所

日当たりが良い場所で風通しもある方が良いです。コンクリートや地面に直接置かずに棚などを用意します。棚はちょっと・・・という場合はレンガなどで盆栽鉢の下に下駄を履かせましょう。

サツキ盆栽水やりと肥料

<水やり>

冬以外は1日1回必ず水やりをしましょう。真夏は1日2回、冬場は2日に1回ぐらいです。夏場は昼間の暑い時期は避けないと根も樹も煮えます。基本は鉢底から水が流れ出るまでですが、サツキはじょうろで樹の上からたくさんやった方がよいですね。花の時期は根元からだけにしないと花が台無しです。

<肥料>

花が終わってから11月まで、盆栽用の置き肥を置いてやりましょう。梅雨時期と8月の暑い盛りは避けても良いです。2月に寒肥を与える場合もあります。

サツキの用土

酸性土壌を好むサツキの用土は専用培養土を購入したら手っ取り早く生育に良好な環境を作れます。自分で配合するとなると赤玉土に鹿沼土・・・と少しずつの用土をたくさんそろえることになりかねません。そんな時、サツキには鹿沼土!鹿沼土単用で植え付けても良く育ってくれます。手持ちの用土があるならば、赤玉土5:鹿沼土3:酸度調整済みのピートモス2の配合が良いでしょう。

サツキの根は細かく、2年から3年で鉢の中が詰まってきます。3月ごろか花の後すぐの6月に植え替えましょう。

サツキ盆栽剪定

花の後は花がら摘みを兼ねて、花の元から切り取りましょう。樹形を調整するなら枝の途中から剪定します。

枝の先は3本以上に分岐しているので、2つの芽を残して切るのが基本の剪定方法です。生育が旺盛なサツキはどんどん葉の付け根から新しい芽を出します。次々に出る芽も2芽ずつを目安にして剪定を繰り返すと良いでしょう。花後の剪定はあまり切り詰めないようにしないと花芽を切り落としてしまう可能性があります。強剪定は冬の間にした方が良いですね。

もさもさとあまりにも際限なく樹形が太ったら、冬に強剪定をするチャンスです。その年の花が咲かないことを覚悟しなければなりませんが、新たな樹形に作り替える時期になったと考えるべきでしょう。

株元から「ひこばえ」がたくさん出ますが、都度切ってやりましょう。

サツキ盆栽の意外と簡単な挿し木

花後の剪定で切り取った枝を流用するのが良いでしょう。時期も6月で梅雨時、乾燥もしにくいのでベストですね。5センチぐらいで先に若い芽が付いていたら挿し穂にちょうど良い枝です。浅鉢に鹿沼土を入れて挿しておきましょう。あまり乾燥させないように水やりをしながら半日陰に置き、3週間ほどで日向に出しましょう。根が活着して来たら1本ずつ単独で植え替えます。1年で花が咲くこともあるので楽しみですね。咲き分け品種の枝を挿せば色違いの挿し木がたくさんできます。

サツキ盆栽針金かけ

6月の剪定が済んでひと段落した夏場に針金かけ(アルミ線)をしてみましょう。太い枝は折れやすいので注意が必要ですが、若い枝は比較的かけやすいです。サツキは成長がとても早く枝太りもスピードがあります。針金をかけて少しずつ曲げていきますが、食い込んでいないか様子を見てやりましょう。食い込んでいたらはずしてかけなおすことを繰り返す必要はありますが、他の樹種にも応用できる針金かけを何度も練習させてもらうと考えるとちょっとお得です。