鉢の中に植えられた木という点では盆栽も鉢植えも同じですが、もう少し踏み込んで2つの違いや共通点について学びます。

盆栽はアート

盆栽を一言でいうならばアートです。
自然の風景にある世界観を植物と鉢を使って表現したものが盆栽といえ、鉢の中で育てた植物を愛でる鉢植えとは、観賞の仕方が大きく異なります。

懸崖に仕立てた黒松盆栽は、海岸の崖に反り立つ松を連想させ雄々しい荘厳さを表し、紅葉を見せる直幹樹形のもみじは、秋のころ山の中に自生するもみじの大木を思わせ、自然界に力強く根を下ろす生き様を見せます。

自然界に生きている状態の木を鉢の上で見事に再現でき、その土地の気候、風土、地形までもイメージさせることのできるような盆栽は称賛されます。
ですから盆栽は自然にある木の様々な特徴をつかみ、その要素を表せるような樹形に仕立てたり、植えつけの工夫をしたりして、自然を縮小した様子を鉢の上に映し出すことを大切にするのです。

盆栽と鉢植えの共通点

植物、土、鉢の3点は盆栽と鉢植えに共通し、どちらも植物を鉢に植えてその美しさを観賞するのが目的です。
植物は丈夫で育てやすい樹種を選び、病気にかかりにくく順調に生長するよう土を選び植えつけます。
土配合は植物に合わせ、木の育ち具合によって肥料を調整します。
鉢の選び方は植物が育ちやすい環境になるよう考慮し、土の入る容量、倒れないような形、そして植物との調和も考えながら用意します。

盆栽と鉢植えとの違い

鉢植えは植物を育て、その樹種特有の花の美しさや姿の様子を楽しみ、生長に合わせて鉢を大きくしたり地植えにしたりします。
植物を育つままにさせ、樹形を倒れないように助けることはあっても矯正することはあまりありません。
盆栽は、木を使って自然の景色を表現するものですから、思い描いた光景を想像できるような樹形に矯正しながら育てます。
木の生長とともに鉢を大きくする鉢植えとは違い、鉢とのバランスを大切にする盆栽は鉢の大きさに合わせ樹高や根の大きさを決めるため、木に比べ鉢が小さくなります。
土について鉢植えの場合は植物が健康に育つことを一番に考え、土を配合し肥料も与えますが、盆栽の場合はイメージした木に育つように土の配合を決め肥料を調整します。
また、鉢移りといって鉢と木の相性をよく考え鉢と木の調和を大切にするのも、盆栽と鉢植えの大きな違いになります。

盆栽は植物をデザインすること

盆栽は木を剪定し針金をかけながら育て、思い描いたイメージに沿って仕上げていきます。
ですが、単に自分のイメージを木によって可視化させるというものではなく、あくまでも自然の中にある植物の姿を作りその内面にある穏やかさや力強さを表していくものです。
自己流の創作とは違い、植えつけ方法、樹形、鉢との調和を考えた盆栽の作法に基づいているかが重視され、それはいい盆栽を作り出すための必須条件でもあるのです。

自然には人口で作ることのできない、絶対的な美がありそれを無視して盆栽に生かそうとしても不自然なものにしかならず、人の心を打つようなものを作ることはできません。
また、植物は生きているものなので、人の手で無理やり形にするやり方では木を弱らせてしまい、それによって盆栽の質は落ちてしまいます。
ですからいい盆栽を作るには、木にこちらの意見を伝えたり、木の声を聴いたりして足並みをそろえながらの作業が大切になるのです。