針金かけの基礎と盆栽樹形の作り方

盆栽の針金かけは、自然の造形の美しさを表現するためと、木の枝を整え、隅々まで日光や風を通し健康的に育てるための重要な作業です。
盆栽作りの第一歩である針金のかけ方について基礎から学びます。

目次

盆栽作りに適した針金2種

針金かけの作業に必要な道具は、刃こぼれがしにくい特徴がある針金切りと針金を曲げるときに使用するヤットコ、そして針金です。
針金には銅線とアルミ線があり、1mm、1.2mm、1.5mm、2mmの太さのものをよく使います。
アルミ線は柔らかいので、幹に傷が残りやすい雑木類の盆栽にもかけやすく初心者におすすめです。

一方、銅線は硬い上に時間が経つにつれより硬化する性質があります。
松柏類の木の樹形作りには銅線を使うことでしっかりと形をつけることができるのですが、扱いがやや難しいので、初心者は太めのアルミ線を使用したほうがいいでしょう。

盆栽の針金かけの適期

針金かけの適期は樹種によって違うのですが、雑木類は生長期と落葉期の2回に分けて、松柏類は秋から冬に集中して作業をおこないます。
雑木は5~7月ごろのまだ新しく柔らかい枝に強めに針金をかけます。秋になったら剪定と同時に針金をかけ直して木の姿を整えた後、ムロへ入れると休眠期の間に樹形が固まります。

盆栽の針金の巻き方

針金を巻く作業は、木の不要な枝や芽、枯れた枝や古葉を取り除き幹枝の全体像が見やすい状態にした後おこないます。
枝の1/2の太さの針金を選び、かける予定の枝より少し長めに切っておきます。
針金は枝元から巻いていくのですが、途中で枝の太さが大きく変化する場合は、太さの分岐点の少し手前で、細めの針金に切り替えていきます。

幹に針金を巻く場合は、針金を2本に束ねておこないます。
針金は巻いた方向へ曲げることを考慮しながら、枝に対して針金は45度くらいの角度を保ちながら巻いていきましょう。
イメージする曲線に合わせながら左巻き、右巻きと使い分けますが、くねくねと蛇行する場合は、枝の途中にある芽や小枝に針金をひとかけすることで、巻く向きを変えることができます。

枝を曲げるときは、枝の下に人差し指を添えて、上から親指で押さえつけながらゆっくりと曲げましょう。
針金かけで避けなければいけないのは、数本の針金を交差させることです。
逆方向に巻くことで、曲げる力を分散させてしまうことになりますし、見苦しい姿にもなります。
二股に分かれた枝の場合は枝2本分の針金を用意して、股部分から左右に分かれるように巻けば交差することはありません。
なるべく複数の枝に対して一本の針金を使うようにしましょう。

盆栽にかけた針金を外す時期

針金をかけたら、食い込みの様子を気にしておき、曲線のクセがついたら早めに外します。外す期間は、雑木は生長期、松柏は休眠期がよいですが、生長が遅くクセがつきにくい松柏は2~3年かけ続けることも多く、その間、銅線は徐々に硬くなっていくので注意が必要です。
雑木は生長が早い上、食い込んだところに傷が残ると回復が難しくなりますので、時期にこだわらず食い込みだしたらすぐに外しましょう。

盆栽に針金が食い込んでしまったとき

細かい作業ができるヤットコを使って、針金の先から丁寧に外していきましょう。
時間が経った銅線は硬くなり、外すときに木を傷めやすくなるので、外しにくいと感じたら無理をせず、針金切りで小まめに針金を切るようにしましょう。
針金の食い込み跡には長く伸ばした癒合剤をしっかりと埋め込んで、傷の回復を促しましょう。