日本人に好まれる盆栽の一つ

盆栽と聞いて真っ先にイメージするのが松の盆栽ではないでしょうか。正月の飾りなどに用いられ、松竹梅として日本人に好まれています。盆栽としてい楽しまれている松の代表は、黒松、赤松、五葉松となります。松はマツ科マツ属の常緑性針葉樹で、学名はPinusです。松の実は食用になり、松脂は精製すると接着剤などに利用されます。主に北半球の寒帯から亜熱帯にかけて分布している樹木です。松の育てやすさは中程度とされ、土質を選ばないので比較的植えやすいのですが、美しい樹形を保つには手入れの技術と知識が必要です。また、松は種と苗の両方から育てられます。この松盆栽の手入れについて説明していきます。

松盆栽の一般的な用土と置き場所

用土として松は水はけの良い土を好みます。土の質は選ばないのでやせた土でも充分に育ちます。しかし、硬い粘土質の場合は腐葉土を用意すると良いとされます。松盆栽の用土を作る際は、赤玉土1、鹿沼土1、腐葉土1の割合で混ぜたものを使用します。置き場所としては、松は日なたを好む植物です。庭木では日光が良く当たり、水はけのよい場所を選びますが、盆栽も基本的に同じです。下の方の枝にも日がよく当たるようにすることも大切です。盆栽では室外の風通しの良いところで育てるのが理想とされます。しかし冬は室内に入れた方が良いとされます。風通しがよければ、年中室内で育てることも可能ですが、その際は可能な限り窓際に置き、室外で育てた時と同様な状態にします。定期的に外に出し、できるだけ日光に当てるようにすることも大切です。日光に当てるのは夏は3日間、冬は1週間で、1日につき6時間は室外に出すようにします。

松盆栽の一般的な水やりと肥料

松の水やりの頻度は庭木と盆栽などでは異なってきます。植え付けて2年間は表面の土が乾いたら、たっぷりと水を与えるのは共通です。しかし、庭木にはその後は水やりの必要はありません。盆栽の場合は2年経過した後は、春と秋は1日1回、夏は1日2回、冬は3日に1回のタイミングで水やりをします。夏は朝夕など涼しい時間帯に行うとよいとされます。肥料についてですが、松は肥料を与えなくても育てることができます。しかし必要に応じて庭木の場合は1月に肥料を与え、盆栽では3月に肥料を施します。庭木の場合は株元に肥料を埋めておき、盆栽では肥料は発酵させておいた固形の有機質肥料を株の周りの土に撒いておきます。これをすることで葉の緑色が濃くなるため、病気や害虫以外の理由で葉が黄色くなっている場合にも肥料を与えると葉の色が緑に戻ります。

芽切りについて

芽切りは6月中旬~7月上旬の間にします。黒松・赤松の長い葉を短く留めるために今年の春に伸びた新芽を元から切ります。元となる黄緑色の軸の付け根にハサミを当てて切り、この作業を盆栽全体の芽で行います。黒松の場合、5月から6月にかけて、伸び始めた新芽を間引きする緑摘みを行います。緑摘みのコツは枝がY字形になるように整えることです。枝の分岐点から長く伸びた新芽を切ります。夏にもう一度新芽が伸びてきますが、春の新芽ほどは長く伸びないためそのままにしておきます。芽切り後、もう一度今年用の芽をつくったものを二番芽と呼びます。一番芽は生長期間が4月から9月と長いので一本一本の葉も長くなりますが、二番芽は7月~9月までしか伸びずに生長期を終えますので、葉が短い状態で秋を迎えます。これを毎年繰り返すことで、葉の短い黒松・赤松の盆栽が楽しむことができます。芽切りはできる場合とできない場合があります。それは葉の緑色が薄く黄色っぽい、一番芽が伸びていない、小さいという場合で、芽切りは来年に見送ります。芽切りをする際には日頃から肥料を充分に与えておくことも大切です。

松盆栽の盆栽の神髄がある

黒松・赤松は同様なお手入れで良いのですが、五葉松はちょっと違ってきます。芽切りなどは黒松・赤松に対してのみ行う作業です。五葉松には必要のない作業ですので注意が必要です。これは五葉松が本来の葉の長さが短いので葉を短くする必要がないからです。コンパクトな印象があるの五葉松。葉を近くで見るとわかりますが、五葉松の葉は短く、樹高が15センチに満たない小さな盆栽にも適しています。赤松盆栽では、樹高約25センチ程度が扱いやすく春に新芽が伸び新しい葉が増えます。海辺で防潮林になっている黒松も、盆栽の黒松も同じ種類で、いずれもダイナミックさが垣間見れます。松と一口に言っても、種類によって扱いが若干違ってきますが、松には盆栽の神髄があり、これぞ盆栽といった充実感が漂います。