鉢は植物を入れて健康に育てるための器ですが、盆栽鉢は育成のためだけではなく木を盆栽として成り立たせる大切な役目も担っています。
盆栽鉢の役割や木との調和について学んでいきます。

盆栽鉢の働きと鉢が見せる光景

植物は鉢土の中に根を下ろし栄養や水分を吸収しながら生長します。
鉢を選ぶうえで大切な条件は、土がたくさん入ることと水はけがよいことです。
盆栽で使う鉢は木と比較して小さく感じるくらいのものがバランスはよいとされています。
小ぶり鉢を選ぶ場合は鉢壁が薄く土が多く入るものを選びましょう。

水はけについては釉薬がかけてあるよりも素焼きした鉢の方がいいのですが、鉢の形状や深さによっても変わってくるので、使いながら水はけの様子をみていくことが大切です。

盆栽の鉢は植物の自生する場所を表現するものです。
高さのある深い鉢は反り立つ絶壁をあらわし、浅い鉢は平野、その中間ほどの鉢は丘陵を表現するのにぴったりです。
表現には色合いも関係し水を思わせる青は水辺を、荒々しさを感じる赤は岩場、緑は茂りながら広がる草原をイメージさせます。

盆栽鉢と直幹樹形とのバランス

垂直に伸びる背の高い直幹作りの木を幅の狭い鉢に植えつけると、より上へと目指す元気な様子を表現できます。
反対に樹高の低いものを横幅のある鉢に植えると、安定感が出て落ち着きのある景色になります。
ただし直幹の盆栽の場合、縦に伸びる木と水平に広がる鉢の組み合わせなので、安定を感じられる一方、面白みに欠けるともいえます。
変化をもたせたいのであれば、木の植えつけの位置を左右どちらかに寄せてみるといいでしょう。

盆栽鉢と斜幹樹形とのバランス

斜幹は海辺や傾斜地で強い風を一方から受け、反対側に傾いた木の様子をあらわした樹形です。
この樹形を生かすには、丘陵や傾きのある土地を表現できる中深鉢を使用するといいでしょう
同じ斜幹作りの木でも猛々しい松柏類は、長方形の形の鉢に合わせるとよく映え、おとなしい風情の雑木は、楕円形のものに植えるとバランスがとれます。
斜幹の場合は植えつけの位置が重要で、傾いて下がっている方を広めにとった植え方にすることで安定感を出せます。
また傾いていない方の根元に土を小高く盛ることも大切です。
傾斜地に力強く踏ん張っている根の様子を想像できるので、盆栽に勢いが生まれます。

盆栽鉢と模様木とのバランス

曲線を描いた模様作りの木は重量感や充実した様子があり、それに見合った鉢を選ぶことでより魅力が高まります。
深鉢にすると安定を感じられなくなり、浅い鉢にしてしまうと軽くなり過ぎてしまうので、一番適しているのは中深の鉢でしょう。
力強い樹形なので、鉢の色も褐色や茶色などの自然な色合いのものが似合います。

花や実をつける木には、やわらかさのある丸い鉢や楕円形の鉢を合わせ、ごつごつした松には、角がしっかりとした正方形や長方形のものを合わせるとしっくりときます。
植えつける場合は強調したい枝の方を広めにとると面白みが出るので、動きがあり力を感じられる枝の方に、空間が生まれるように植えます。
また木の安定感や力強さを表現するには、太く張り出した根を作ることです。
木を浅めに植え込むと空気に触れやすくなるため根が急速に生長します。
地表に近いところに根を広げて植え、模様木の安定した魅力を高めるような工夫を加えるといいでしょう。