やりがいのある樹種

黒松は、五葉松と人気を二分する盆栽の代表的な樹種です。五葉松に比べ葉が長く剛直なのが特徴で、日本全国どこでも栽培しやすいとされます。自然界では海岸沿いで生育する松で、幹肌は荒々しく長い葉が強く出ているので迫力があります。黒松で有名なものは、愛知県の三河黒松、茨城県の鹿島黒松などが挙げられます。亀甲性、岩石性、荒皮性などの幹肌の荒れ方に、それぞれ特徴があります。また、黒松の八つ房品種としては、寿、寸梢、千寿丸などあります。黒松は充分に肥料を与え、できる限り日当たりの良い場所に置いて育てます。充分に幹を太らせたら、無駄な枝を落として幹模様が味わえるようにします。手をかければ、応えてくれる黒松。この黒松盆栽の育て方について説明します。

芽についての取り扱い

生育旺盛な黒松は適度な肥料と水を与えれば、4~5月の連休頃になると、みどり芽が伸びてきます。これを放置しておくと間延びした枝葉になるので。この伸びたみどり芽を元から5芽残して指で折ります。ハサミを使うと枯れ込むことがあります。これがみどり芽摘みです。みどり芽摘みをしてから1ヶ月が過ぎた頃、新葉が茂ってきます。6月中旬から下旬の時期に芽切りを行います。枝が充実した短葉の黒松にするには芽切りは欠かせません。芽切りの方法は、今年伸びた新芽を全て元から剪定ばさみで切ります。さらに8月には、3芽以上ある部分を2芽にします。左右1芽ずつ残し、中央部の立ち芽をかき取っていきます。これを芽かきと言います。

葉についての取り扱い

新芽は勢いの良い芽と悪い芽があり、放置しておくと勢いの良い芽だけが伸びてしまいます。そこで新芽の生育を平均化するために古葉調整をします。古葉調整は芽切りと組み合わせて行うもので、芽切りで勢いの良い新芽を切った箇所の古葉を状況に応じて残し残りは全てピンセットで抜きます。これは勢いの強い新芽ほど古葉を多く抜き、勢いの弱い新芽ほど少なく抜きます。またピンセットで抜く際、「はかま」は残します。このように古葉調整を行うと再び出てくる二番芽の平均化がはかれます。10月に入ると古葉刈りは古葉調整時に残した古葉を全て抜きます。古葉調整時と同じくピンセットで抜き「はかま」を残します。12月になると古葉を取り、葉の多過ぎる部分は新芽も間引き、全体的に透かします。葉が少なめの部分は古葉も残しておきます。これを葉すかしまたは葉抜きと言い、葉数が少ないうちは葉を切る葉切りで揃えます。

水やりと肥料について

黒松は水を好むので、水を与え過ぎても余程の事がない限り根腐れは起こしません。若木などでは、水を切らすと枯れることがあります。与え方は鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。春と秋は毎朝1回たっぷりと与え、夏は朝と晩に2回与えます。朝は鉢元で、晩は頭からシャワーのようにかけます。冬は2日に1回与えます。黒松は肥料を好み、肥料が不足すると貧弱な枝葉になってしまいます。年間通して肥料を絶やさないようにします。肥料は有機肥料の油粕と骨粉の混合肥料が適し、形状は固形肥料で醗酵したものが良いとされます。特に7月に二番芽を出させるために梅雨時と真夏を除く春から秋の生長期に玉肥を与え、養分を充分に行き渡らせ幹を太らせます。与える量は6号鉢で春は中粒8個程度、夏と冬はやや少なめの6個程度、秋は春より多めの10個程度で、植替えの後の1週間は与えません。

黒松盆栽には大きな充実感がある

黒松盆栽を始めるにあたっては、種木は挿木や接木、取木、山取りなどでも作られますが、実生から仕立てることが多いようです。実生でも1年目から小品盆栽仕立てにして楽しむことができます。もちろん、年数をかけて充分に樹勢をつけた太幹の盆栽仕立てることもできます。黒松の樹形を作る際には、良い素材を入手することが大切とされます。枝が沢山あり、根張り、葉性、立ち上がりが良く、芽摘みなどの樹勢の管理がなされているような素材を見つけたいものです。一年を通じていろいろな作業がある黒松盆栽。剪定、針金かけ、植え替えも適宜対応する必要があり、病害虫にも注意しなければなりません。盆栽の管理には労力を要しますが、黒松盆栽から得られる感動は、他の盆栽では味わえない大きな充実感があります。