根と樹の部位関連の盆栽用語の意味一覧

盆栽の展示会

根洗い・根伏せ・走り根・根張り、根は盆栽にとって切っても切れない関係です。というよりも、根がなければ樹は生きていけませんし、「根を魅せる」のも盆栽の醍醐味です。(まれに根が生えない植物はありますが)
字面を見れば何となく想像は付いても、耳で聞いたら「?」な根に関する盆栽用語。

知っておいたほうがより盆栽に詳しくなる用語を解説します。

目次

上根(うわね)

「うえね」と読んでしまいそうですが「うわね」です。土表面で張っている根や表面近くの根のこと。下の方に比べると成長が早いのは日光がよく当たって温度が上がりやすいことが理由です。

片根(かたね)

幹の片方にしか根がないという状態をいいます。通常は幹の前後左右にまんべんなく広がるので、「片根」は安定せず不安定に見えます。

絡み根(からみね)

根と根が絡み合っている状態です。植え替えの時に掘り上げてからほぐすか切ります。

腰水(こしみず)

「根」の用語ではありませんが、根から直接水を吸わせることで大切です。水を張った水盤や洗面器に鉢ごと淹れてしまいます。お出かけで家を空けて乾燥がひどかった時や夏場の外気温も高い時などにします。鉢ごと水に沈めることで吸収が良くなりますが、鉢全部を沈めてはいけません。鉢の高さの半分ぐらいを目安にしましょう。

座(ざ)

「根張り芸」と言われるもののひとつが「座」です。細かく分岐した根が横に薄く薄く広がっていること。四方に広がって一枚の幕のように癒着する「盤根」そのものや「盤根」になりかかりの状態をいいます。高価な盆栽で見たことがあるかもしれませんね。

底根(そこね)

底根よりも「底値」のほうがなじみがありますね・・・幹の真下にある根のことを「底根」と呼び、比較的切られてしまう根です。これを切ることで樹の大きくなりすぎや太り過ぎを抑えることができます。また厚みがあまりない浅鉢に入れる時には切り詰めなくてはなりません。まだ生育が盛んでない場合は元気がなくなるので切らないようにしましょう。

直根(ちょっこん)

種から真下に伸びる根のことです。木の実が地面に落ちて根を出しているのを見たことがありませんか?最初の1本の力はとても大きなもので、下へ下へとぐんぐんのびてその根で幹を成長させます。しかし、盆栽の場合は盆栽鉢で育てるため便宜上直根は早期に切り取ってしまいます。下向きの根を伸ばしたままにすると力が強すぎて、横根が広がり切れずに樹形の広がりも乏しくなります。

つかみ寄せ

多幹や株立ちのような樹形を作る時にとる方法です。苗木を数本つかむようにして根元どうしを束ねたようにくっつけて植えこみます。成長するにつれて太くなると癒着して立派な樹形になります。

根洗い(ねあらい)

「根洗い」には二通りの意味があります。

文字通り根を洗うことで、植え替えなどの時に土を崩して水で洗い流します。サツキを育てると樹、根に土が残っていると生育にも影響します。吸水・保水などをよくするために根を流水で洗いきれいに土を落とします。

長く育てていると根が鉢の中でびっちりと型にはまったように固まってしまいます。これを盆栽鉢から抜き取って水盤などに飾ることを「根洗い」と言います。草もの盆栽によく見られる方法ですね。

根腐れ(ねぐされ)

水や肥料が多く過湿になったりして根が腐ります。水分で直接腐るのではなく、雑菌などが繁殖して腐ってしまうというのが根腐れです。早く見つければ枯れた細かい根や腐っているところを切り離しますが、初心者には救助が難しい状況です。肥料はやらず水やりも乾かし気味にしながら様子を見ますが、回復にはかなりじかんがかかります。

根捌き(ねさばき)

根をほぐすことです。お箸などで植え替えの時に根をほぐします。

根接ぎ(ねつぎ)

根の張りが弱かったり根がないところに接ぐことです。四方八方に根が張る「八方根張り」を作るための作業です。実生(みしょう:種から芽出しをしたもの)の若い苗木を接ぎ穂にして行います。

根土(ねつち)

根に密着してずっとくっついてきた土のことで、「台土(だいつち)」とも呼びます。

根張り(ねばり)

「根張り」はよく使われる盆栽用語のひとつで、土の上に見える根のことです。神社で楠(クスノキ)の大木の根元などにもこの根張りが見られますね。盆栽ではとてもこの根張りを大切にしていて、力強い安定感や年月を経た大木感を垣間見せるものです。根張りが立派な樹は良い樹です。

根伏せ(ねぶせ)

いらない根を挿し穂にする方法のこと。植え替えの時に根を切りますが、切った根の模様が良いところを土に埋めて作ります。ちょっとだけ頭を土から出して埋めておくと模様の生きた素材が出来上がります。ミニ盆栽や小品盆栽などに利用できます。

根水(ねみず)

霧吹きや蓮口付きじょうろで樹の上から水をかけると「葉水」ですが、根だけに水をやることを「根水」と言います。

走り根(はしりね)

他の根よりもとびぬけて長い根のことで、一本だけ太く長い根があればそれが「走り根」です。根はみんなが同じ勢いで伸びていることが良いので、植え替えの時などに切っておきましょう。

盤根(ばんこん)

薄く薄く土の表面を伸びた「座」が癒着して固まった状態が「盤」、その盤になっている根そのものを「盤根」と呼びます。雑木盆栽で根張りを魅せる樹種で大切なものです。

ひこばえ

厳密に言えば「ひこばえ」は芽です。でもこのひこばえを流用して株立ちなどを津屈ことができます。株元からおもむろに出てくる芽で、放っておくとどんどんびっくりするスピードで伸びていきます。元の樹の栄養を見事に利用して伸びていくので早めに切っておきましょう。

盆栽を育てるにはまず「盆栽用語」を知らなくては不便です。盆栽屋さんでレクチャーを受けて、その時は説明を受けてわかったつもりなのに家に帰ったら「なんだったっけ?」というのが初心者あるあるです。樹の部位に関わる盆栽用語はたくさんありますが、主なものを解説します。

用語の意味まで追いつかなくても、言葉だけでも予習しておくと後からおさらいするにも役立ちます。

頭(あたま)

盆栽の樹のてっぺんあたりのこと。樹冠(じゅかん)部といい、盆栽に重要な頭部全体を指します。頭が丸く作れるほど技量が上と言われます。だからといって、てっぺんを無理に刈り込んではいけません。

一の枝

根元からみて最初に生えている枝で、この位置は樹形への影響が大きい。不等辺三角形につくることから、樹を正面から見て「右一の枝・左一の枝」と呼びます。一の枝が低いとどっしりした形に作れます。

後ろ枝

盆栽に奥行きをつけるために付けておく後ろ向きに伸びる枝のこと。後ろ枝がないと平面的な絵のようになってつまらない感じになります。雑木盆栽では特に大切にしたいです。

枝棚(えだたな)

松柏盆栽でよく出ます。小枝や葉を小さいブロックに分けた部位のことで、襖絵の松などを見ると良くわかります。立体感や大木の感じを出すのに必要です。

犠牲枝(ぎせいし)

枝元を太らせるためだけに伸ばす枝のこと。枝が付いていると元が太くなる性質を利用するのですが、いい塩梅で切らないと傷跡だけが大きくなります・・・

コケ順(こけじゅん)

根元から頭に向かって幹が細くなることで、スギなどでよく言われます。自然に細くなっていくのを「コケ順がよい」と言います。自然の樹のコケ順はとても美しいと言えますね。

立ち上がり

幹の始まりの部分です。コケ順の基準にもなり、立ち上がりの太さは盆栽として大切です。

短枝(たんし)

よく伸びた枝「徒長枝」の反対で、組織が充実した枝の元付近から出る枝のこと。花もの・実ものでは短枝が花芽や実が付きやすいので大切にしないといけない枝です。あやまって落としてしまうと花も実もないという結果になります。

胴吹き

おもに幹の途中から芽吹くこと。枝を強剪定することで出やすくなります。枝数を増やしたり間延びを狭めたりするのに利用します。栄養状態がよく生育が良い樹ほどたくさん出ます。

止める

幹や枝の先、成長点を切って落とすこと。輪郭を整えたり実ものの結実を促すためにします。樹高に制限があるミニ盆栽などでよく使われます。

ふところ

よく使われる用語です。盆栽の内側で幹に近い枝の部分のことで、特に枝葉が混んで見えないような部位を言います。「ふところがない」というと、幹からの枝が少なくスカスカして見えることを言います。

骨(ほね)

その樹の小枝以外の部分のこと。人間なら背骨のようなもので、作り変えることができません。これによって盆栽のできの良し悪しが決まります。

役枝(やくえだ)

木の骨組みを決める「役割」のある枝のこと。いらない枝以外はすべて役枝とも言えます。目指す樹形にするために、呼び名をつけられる枝はみな役枝です。ということは、自分で「これは一の枝」「こっちは後ろ枝」などと決めることができますし、樹形を作るための目標にもなります。