「水やり3年」という言葉があるように、盆栽を育てる上でもっとも重要でありながら難しいとされるのが水やりです。
木を健やかに育成し、姿のいい盆栽にする水やり方法について学びます。
目次
盆栽の水やりに合う道具について
ジョウロは水貯めのタンクから水の出口である蓮口までの筒状の管が長いほど、水がきれいな弧を描いて飛ぶので扱いやすいです。
また水をあげるとき水の出方に勢いがあり過ぎると、木を倒したり鉢土を飛ばしたりします。
蓮口の小さい穴のものを選び、霧状になった小さい水滴が盆栽の鉢に柔らかくかかるようにしましょう。
盆栽の数が多い場合は、ホースに灌水ノズルをつけたものを使用した方が手間が省けます。
自動散水タイマーを庭の水道蛇口につけて、そこから盆栽棚にホースを伸ばせば、セットした時間に散水が始まるというシステムセットが市販されています。
あくまでも補助的に使用するのが目的ですが、留守にして水やりができないときに利用すると便利です。
盆栽の水やりと生長
水やりの難しいところは与える水の量とタイミングです。
水をやり過ぎると木は伸び過ぎて姿の悪いものになったり、根腐れの原因になったりします。
反対に水を控えめにし過ぎると、枝葉はコンパクトにまとまりながら生長しますが、タイミングを間違えると枯れてしまいます。
鉢土が乾き、木がしおれかかる直前を見極めながら盆栽と息を合わせられるようになることが重要です。
盆栽の基本の水やり
日常の水やり回数は春と秋は日に1回、夏は2回に増やし、冬は2日に1回のペースに落とします。
理想は水道水や雨水を水がめにくんでおき、カルキが抜けたものを利用することです。
基本の水やりのタイミングは樹種によって多少ばらつきはありますが、鉢土が8割乾いたことを確認して鉢底から抜けるくらいに水をたっぷりとやります。
開花時期は花を避けながら木全体にかけてやり、根を整理したばかりのときも根の吸収が悪くなっているので葉や枝に水をかけてやるようにします。
冬は日の当たる午前中に与えるようにすれば、凍える夕方には水分が蒸発した状態になり、霜の被害を弱めることができます。
盆栽の水やりにおける2つの工夫
・鉢を箱に入れて管理をする
鉢土が乾くのは、日に当たって蒸発する、植物が吸収する、風に水分を奪われるといったことで起こりますので、それに対処する必要があります。
鉢の高さの面積が広い箱を用意して、そこにパーライトや砂を浅く入れ盆栽鉢を並べます。
この方法ですと水持ちはよくなりますが、鉢の穴から根が出て砂の中に潜ると始末が悪くなるので、定期的に確認をしましょう。
また箱に入れてしまうと光や風を遮り、本来の木の生長にはよくないことなので、どうしても乾燥を食い止めたいときだけにしましょう。
・鉢を地面に置く
鉢を土の上に直接置いて管理する方法です。
有効な乾燥防止で手間もないのですが、泥がはねて木につくようになると病気にかかりやすくなるため、鉢をすみ間なく並べて被害を最小限に留めるように工夫します。
またミミズが鉢の穴から侵入するようになると、吐き出した土で鉢の穴がふさがれ根腐れを起こすことがあります。
水はけの悪い鉢を見つけたらすぐに調べ、対処することが重要です。
地面近くに鉢があるので余計な種が鉢土に飛んできて、雑草が生えてくるという欠点もあります。
地面の上にビニールを敷きその上に砂を広げ、盆栽を並べると一番いいでしょう。