松盆栽の代表格の樹種は3つ

盆栽において剪定は欠かせない作業の一つです。松盆栽で代表的なものは、黒松、赤松、五葉松となりますが、剪定次第で、美しさが大幅に変わります。黒松は、日本の海岸に自生するマツ属の一種で、針葉は二葉で長さは7~12cm、幅は1.5~2mm、球果は4~7cmの長さになります。樹皮は灰黒色で厚く、亀甲状に割れ目が入り剥がれやすくなっています。赤松は、マツ科マツ属の常緑針葉樹です。黒松とよく似ていますが、葉がやや細く柔らかく、手で触れても黒松ほど痛くありません。そのため黒松を「雄松」、赤松を「雌松」と呼ぶこともあります。成長すると樹皮が鱗状に剥がれるのは黒松と同じですが、赤松ではこれがより薄く、赤っぽい色になります。五葉松は、山地に自生するマツ科の常緑高木で、枝は水平に出て、針状の葉が5枚ずつ束につきます。5月に新枝下部に雄花、先端に雌花をつけ、球果は卵状長楕円形になります。樹皮は暗褐色で庭園木や盆栽に用いられ、盆栽に最も適した樹種とされています。いずれも、剪定で、好みの姿に変えられます。この松盆栽の剪定について説明していきます。

松の芽摘み

春先から伸び出す新芽を摘む作業のことを指します。第一節間を短くすることや樹勢の強弱などの格差を平均化するために行います。やり方としては、仕立てを想定し芽の長さや葉の量を調整していきます。通常、真ん中の長い芽を根元から摘み取り、両脇の2つの芽は半分程度を摘みます。4~5月を過ぎた頃の芽は、堅くないので指で摘めます。手で摘み取れるくらい柔らかい内に剪定します。6~7月になると新芽が固くなるので、芽を摘む際はハサミを使います。芽がほころぶ直前に強い芽をピンセットで開いてつみ取る方法もあります。

松のミドリ摘み

5月中旬~6月中旬頃に「ミドリ摘み」という剪定作業を始めます。ミドリ摘みは、松の新芽が数本立ち上がってくるのをかき取り、自然で締まった樹形を維持するために行います。地域によっては、ミドリ摘みの時期は違いますが、手で摘み取れるくらいの柔らかい内に剪定します。松の剪定は、年2回が基本となります。松の先端を見た時、葉の出ていない新芽があります。これが樹形が崩すので新芽のうちに摘み取ります。松は場所により、新芽が1本から多いところでは6~7本出てきます。摘み取る芽か残す芽かは、芽の伸びる方向と全体の樹形を見て判断します。

松の冬の「もみあげ」と透かし剪定

11月初旬~2月中旬頃に、枝の下の古い葉を手でしごく剪定の「もみあげ」という作業を行います。「もみあげ」をすることで古い葉をしごき取り、下の枝に日が差し込みやすくなります。葉を透かせるために新しい葉も先端に7~8対の葉が残るようにしごきます。その他も必要に応じて透かし剪定をします。松の古い葉は数年で枯れ自然に落ちますが、古い葉が多いと下の枝に陽が当たりにくくなります。松は日当りを好む常緑樹ですので、枝や幹を美しく見せる「もみあげ」と透かし剪定は大切な作業となります。これらは松特有な仕上げ方となります。

剪定に応えてくれる松

黒松・赤松の剪定を中心に説明しましたが、五葉松は、目立って伸びてきたところや余計な小枝や葉をハサミで切ります。そのまま放置するとバランスの悪い姿になりますので全体を眺めて輪郭から逸脱している枝や混み合っている枝を剪定します。まさに盆栽として扱いやすいと言えます。また芽摘みなどの剪定の際には、新芽に害虫対策をした方が良いかもしれません。松柏類でも新芽にはアブラムシやハマキ虫、ダニ類などの害虫がつきやすく、特に樹勢の比較的弱い赤松や五葉松などは注意が必要です。新芽の動く4月頃から夏場にかけては月に1回は殺虫剤を散布し害虫の被害を防ぎます。一般的に松盆栽の手入れは丁寧さと根気が必要と言えますが、その期待に充分に応えてくれるのも松です。

もみじを楽しめるのは庭木だけじゃない!

もみじといえば、鮮やかな緑色が美しい葉姿から、秋の訪れを感じさせてくれる紅葉、さらに風情だたよう落葉まで、四季に合わせていろんな姿を楽しませてくれる人気の樹木です。

庭木として育てている人を多く見かけますが、もちろん小さく仕立てれば盆栽として楽しむことができます。

実はひと口に「もみじ」といっても、いろんな種類があることをご存知でしょうか?ここでは盆栽として楽しませてくれるもみじに注目し、代表的な種類についてご紹介していきます。

個体差が楽しめる山もみじ

紅葉と聞いて多くの人が思い浮かぶのが、山もみじではないでしょうか。それもそのはず。山もみじは、もみじ盆栽の中でもっとも多く販売されている種類となります。ちなみに山もみじとは、山野に自生するもみじの総称です。

自生しているものがほとんどなため、環境による個体差があるのが特徴となっています。世界にひとつだけのもみじ盆栽を楽しむことができます。

春に赤い葉を楽しめるもみじ

春の新芽が特に美しい紅葉を「春もみじ」と呼びます。春もみじには下記のような種類があります。
出猩々(でしょうじょう)
比較的成長が早く、春もみじの代用的な樹種です。春の真っ赤な新芽が一番の見ごろ。その後夏には葉が緑色に変わります。
千染(ちしお)
葉が小さめで、枝が横に貼るため、盆栽として仕立てやすいもみじです。新芽の赤い葉は、出猩々と比べるとやや黄色味を帯びています。
紅セイガイ
こちらも盆栽として仕立てやすいと人気の樹種です。ほかのもみじと比べ、葉の切れ込みが深いのが特徴となっています。

和風・洋風どちらにもあうイロハモミジ

イロハモミジは、別名イロハカエデとも呼ばれ、紅葉が特に美しいもみじのひとつです。盆栽として小さく育てることができて、しかも和風・洋風どちらの雰囲気にも調和することから、盆栽愛好家にとても人気があります。ミニ盆栽として室内に飾るのにもピッタリです。

山もみじとくらべて少し葉が小さく、節間が短いという特徴があるので、初心者でも比較的仕立てやすいとされています。

幹が赤色に染まる珊瑚閣

珊瑚閣は、先述のイロハモミジに属するもみじです。木の幹が淡い赤色、そして枝がそれより濃いめの赤色に染まり、ひときわ目立つ姿をしています。芽吹きは黄色で、葉が育つにつれて黄緑色から淡い緑色に変化していきます。紅葉は淡い橙色や赤茶色になります。こうした特徴的な色調の変化から、海外の盆栽愛好家にも支持されています。

葉がしっかり詰まる姿が良い獅子頭

獅子頭もイロハモミジ系に属するもみじです。葉がぎっちりと密生することが特徴となっており、若葉~夏葉のころの鮮やかな緑色はとても美しいと人気があります。

また、葉の姿そのものもとても個性的なのが獅子頭の良いところです。獅子頭の葉は、緑色の葉が破裂すると、くせ毛のようにぢぢれます。これが獅子の巻き毛のようだということから、獅子頭という名前がついたほどです。

愛樹のころは淡い黄緑色、紅葉の時期は真っ赤に染まります。葉が密生したまま紅葉するので、その迫力はほかのもみじ以上のものを感じさせてくれます。こうしたさまざまな個性から盆栽愛好家に親しまれています。