大宮盆栽村は、さいたま市北区に位置する日本屈指の盆栽栽培地です。その名を聞けば盆栽愛好者は心が躍りますね。単に「盆栽村」といえばこの「大宮盆栽村」のことを指します。毎年ゴールデンウィークの5月3日から5日には「大盆栽祭り」が開催され、多くの盆栽ファンでにぎわいます。盆栽に興味がある方は一度は訪ねてみたい場所です。

いつからあるの?盆栽村

今から90年以上前の大正14年ごろ誕生した盆栽村。山林地帯だったところに盆栽業者が移住したことをきっかけに地元業者や愛好家たちも移り住むようになって村として形成されていったそうです。当時では珍しい碁盤の目に道路を整備し、街路樹として桜やもみじなどの雑木を次々に植えていきその樹の名前を通りに付けた集落をつくります。

昭和3年には盆栽村組合が設立され、おもしろい「住民協約」が結ばれました。盆栽村に住むには盆栽を10鉢持つ・いつでもだれでも見られるよう門戸を開放する・日陰ができるので平屋しか作ってはいけない・周囲の囲いは生垣でブロック塀は不可、というものです。盆栽愛に溢れた協約ですが、かなりハードルが高いと思いませんか?

昭和15年に旧大宮市に編入されて「盆栽町」に変更されました。第二次世界大戦中も外圧が高まる中でもくじけず細々と村づくりを続け、沿道の樹が燃料用に伐採されたりしながらも頑張り続けた盆栽村は日本人の魂と共に盆栽という日本独自の芸術を始めに海外に伝えたのかもしれません。国際行事でも盆栽を寄贈することでもそれが現れています。

名品を生む6つの盆栽園

「九霞園」

昭和9年に今上天皇のご誕生を祝した「君が代松(初代)」を皇居に献上した由緒ある九霞園は、蝦夷松の取り木を世界で初めて成功させています。盆栽専用手入れ道具を始めて考案したのもこの九霞園なのです。吉田茂を筆頭に政界の要人が所有する盆栽や、皇族方の盆栽の管理にも携わりました。盆栽界としては初の叙勲を受けているのも初代園主・村田久造氏です。

「清香園」

テレビや新聞など、メディアでの紹介が多い清香園。古い歴史を持ちながらもオンラインショップなど新しい形を打ち出している盆栽園です。老舗ならではの敷居の高さを感じさせないしつらいが人気の秘密です。江戸時代から続く伝統技術を後世に残す観点と盆栽と現代の暮らしの融合を形にするべく「彩花盆栽教室」を3か所で開催し、現在では1,300名を超える受講者が集います。1日体験や通信講座もあり、盆栽初心者ならぜひ参加してみたい講座です。

一般の愛好家を対象に50年前の1966年から盆栽教室を開催している「藤樹園」、最も歴史のある1925年開園の「蔓青園」は蝦夷松を中心に深みのある景色を作る創作盆栽を得意としています。雑木盆栽と寄せ植えなら不動の人気を得ているのが「芙蓉園」、伝統ある盆栽を後世につなぐために藤樹園から独立して開かれた「松雪園」は空間有美をテーマにした盆栽教室を開催しています。

それぞれの盆栽園が伝統を受け継ぎながらも独自の風貌や美意識を世に出すべくここ盆栽村で生き続けています。

はずせない!大宮盆栽美術館

盆栽村に行って大宮盆栽美術館に行かない盆栽好きはまずいないでしょう。(東京に行って東京タワーを見ないようなものです)
開催されるワークショップも人気ですが、なんといっても所蔵コレクションがすごいです。盆栽の名品の前に立てば、その荘厳さに身が引き締まる思いです。他にも「卓」と呼ばれる盆栽を乗せて鑑賞する台や美しい水石、明や清の時代につくられた盆器などここでしか絶対に見ることができない盆栽に関わる芸術品を一所で網羅することができます。盆栽庭園や写真OKな撮影コーナー・ミュージアムショップなど、盆栽への愛を日ごろ注ぎ過ぎていてもこの美術館でエネルギーを充電できてしまいます。