初心者さんでいろいろな用土を配合するのは結構難しいものです。盆栽展や通信販売で樹種ごとに適した用土を購入することができますし、かえって配合済みの用土を買った方が清潔で生育も良く、費用も時間も節約できるものです。いろいろな種類の土を入手すると山積みで使い切れず湿気でカビが生えてしまったりと、盆栽の生育にもかえって悪い時もあります。

自分で用土を初めて購入するなら赤玉土と山砂をおすすめします。初歩の初歩なら盆栽用土は赤玉土7:山砂3の基本を覚えておけば大抵の樹は育てることができます。ここではたくさんある用土の種類から盆栽に使われる主なものの特徴をご紹介します。

赤玉土

盆栽のみならず、ほとんどの植物の栽培に利用されます。盆栽でも基本用土となり、大粒から極小・細粒などの粒の大きさがあり指でつぶせるほど柔らかいものから焼成した硬いものまであります。保水力があり、粒の堅いものほど隙間に空気が通りやすくなるので根が有効に酸素を取り入れることができます。弱酸性で万能な赤玉土ですが、保管しているとだんだん粒が壊れて通気性が落ちてきます。

鹿沼土

挿し木はよくこの鹿沼土を使いますが、これは多孔質で高保湿力という特徴を利用したものです。サツキなどの酸性用土を好む樹に使用します。つぶれやすい性質なので、一度水に浸けて半乾きで使用するか硬質のものを使用した方が扱いやすいです。

川砂

字が川の砂だからといってどこかの川から砂を取って来ても代用はできません・・・
松柏盆栽には赤玉土と配合してほとんど使用されていて、排水性と通気性を兼ね備えた用土です。粒が割れにくくとても固いのが特徴で、大粒ほど排水性が高くなります。細粒は挿し床や種蒔きに使用でき、洗浄して乾燥させれば再利用可能です。

桐生砂

根を分岐させるなら桐生砂です。角張った性質を利用して根の分岐を促したり、高い排水性から鉢底土にも利用されます。

黒土

雑木盆栽やミニ盆栽など、枝葉が繊細なものに多く使用されているしっとりした土です。感触は腐葉土と似ていますが、腐葉土よりももっと粒子がこまやかです。

腐葉土

肥料と並ぶ栄養分を備えるのが腐葉土です。よく見ると植物の枝葉などが混ざっていて、実際は「土」ではないのがわかります。自然のものは日光消毒してから使わないと土壌菌が含まれていることがあります。雑木盆栽の土を肥やす目的で腐葉土を混合しますが、施肥は必要です。

ケト土

一見すると土には見えないケト土は取り木したあとの保護や乾燥防止にも利用されます。石付きの樹形をつくるのに欠かせない粘土質の土です。草もの盆栽では鹿沼土との混合で使用することがあります

水苔

明らかに土ではありませんが、植え込み材料として有名です。通気性と保水力・排水性の三拍子がそろっているのが水苔の特徴です。ビニール袋に入れて水を注ぎ1日置いておけば戻せます。これも取り木にも使用されますし、植え替え直後の用土の乾燥を防ぐために細かく切って株元の土に張り付けたりします。

盆栽用土には他にも種類がありますが、基本は栄養分が添加されておらず清潔なものを用意するのが原則です。赤玉土を基準の土と考えて、水はけを良くするなら桐生砂・保水性なら黒土など盆栽樹種の性質をみて用土を選び配合しましょう。植えたい樹種を決め、その性質に合わせた小さめサイズの用土の購入をおすすめします。

何を始めるにも難しい用語がたびたび出てきて困りますよね。そんな時にちょっと書き留めておいて後で読んでみてください。盆栽の生育に関する用語です。

一歳性(いっさいしょう)

種を蒔いたらその年のうちに花が咲き結実する品種のこと。盆栽ではちょっとスパンが長くなります。実生や挿し木をして最長2年で花を咲かせ実をつけるものをいいます。「一歳桜」はよく聞きますね。

上土(うわつち)

盆栽鉢の中の用土のうち表層面にある土のこと。何年も植え替えないでいると固まってしまい水が浸透しなくなります。固形肥料のカスも原因のひとつです。

辛い(からい)

水や肥料を少なくすることです。豊富に与えるよりも、立派な盆栽を作るためには辛めの方が良い場合もあります。「五葉松の水やりは辛めに」などのように使います。

石灰硫黄合剤(せっかいいおうごうざい)

殺菌等のために使用する農薬です。通常は1000倍ぐらいに水で薄めて筆で塗ったり噴霧器でまいたりして使用します。「神」や「舎利」にも使用されます。殺ダニ効果もあります。

石化性(せきかしょう)

樹木の性質のひとつです。自然な状態で石化(石のように固い板やハケ状になること)しやすい性質のものを指します。

立て替え(たてかえ)

盆栽の樹高の高さを変えたり先端の部分を作り直したい時に使います。枝や幹の途中に出てきた新芽などを新しい枝芯・樹芯に決めてその先で切り取ります。樹が間伸びした時にも、樹種によっては切ることで幹肌に新芽を出す「胴吹き」を促すことができます。

肉巻き(にくまき)

肉巻きおにぎりならわかるんですが、という方にも。幹や枝を切ると、時間の経過とともに新しい表皮ができているのを見たことがありませんか?癒着して表皮ができ、治ることを「肉巻き」と言います。公園や防砂林の松などで時々見られます。松柏はヤニが多いものは「肉巻き」しやすいです。他にはもみじやブナなども肉巻きしやすい樹種です。ただ、肉巻きの跡が黒く変色する樹種もあります。

肥培(ひばい)

フォアグラを作る過程を想像させる「肥培」です。樹木に元気をつけるためだったり人為的に大きく太らせるために人為的に養分を与えることです。使用されるのは土壌活性剤や肥料があります。土壌活性剤は土の中に入った栄養分の化学変化によって吸収率を上げます。盆栽鉢の中には栄養分が少なくてそのままでは樹がそだちませんよね。樹が吸収しやすいような配合になっているのが人工肥料です。「有機肥料」「緩効性肥料」などがそうですね。形態も水で薄める液体肥料や置くだけの固形肥料など様々です。始めに植え付けるときの用土は「肥料分などが入っていない清潔なものを」といいますが、そのためにも必要ですね。

実生「みしょう」

種を蒔き、種から樹を作る繁殖方法のことです。比較的手間がかからないと言われる方法ですが、「実生変化」と呼ばれる性質があり不安定な方法です。実生だと色や丈などさまざまな品質にばらつきが出ます。でも実生には「ゼロから作る」という魅力もあり、根張りがとてもよくなるので捨てがたい方法です。ミニ盆栽などのように小さくシュッとした姿にするにはこの「実生」が向いています。

室(むろ)

盆栽の冬の駆け込み寺のような場所です。寒風や雪・霜などから保護します。一番寒くなる直前に「室入れ」して、春先に「室出し」します。プレハブやビニールハウスが思い浮かびますが、田舎に行くと土や山肌に掘った穴だったりして驚きます(結構あたたかいですよ、土に穴を掘ると)。換気したり密閉したりと切り替えられる方が良いとされていますが、加温する必要はありません。寒さで樹が傷むことと、鉢の土が凍結して盆栽鉢ごと割れるのを防ぎます。

灼け込む(やけこむ)

剪定したことで枝元から枯れることがあります。そこから下へ枯れ込んでいくことを「灼け込む」と言います。「灼けが入る」とも呼ばれますが、樹種によって灼け込みやすいものとにくいものがあります。「水吸い(白骨化していない生きている部分)」が途切れることで水分が吸い上げられなくなって枯れ込みます。灼け込みよりも下に枝(灼け止めの枝と呼びます)が残っていた場合は水を吸い上げることができ、灼け込みを防ぐことができますね。

山採り(やまどり)

山に自生している樹を掘り起こして鉢上げし、生育することです。入手方法として昔からありますが、自然環境保護の観点から現在はあまり行われないようになりました。その土地の所有者の許諾があれば法的に問題はありませんが、肥培の技術や挿し木・取り木等の繁殖方法がすすみ、あまり一般的に山採りは行われません。勝手に山や私有地に入って樹木などを採ることは法律で禁止されていますのでやめましょうね。モラルも疑われます。

癒合剤(ゆごうざい)

枝抜きの跡、傷口の早期治癒を促すために使用する薬剤です。元々の癒合剤は雨風から傷口を保護するだけのものでしたが、現在は「癒合剤」というと癒合促進剤が含まれるものが一般的になっています。傷口や傷跡に塗りやすく保護できるようペースト状のものが多いです。