盆栽を作るうえで選定作業は一番大切だと言っても過言ではありません。樹形を作るために選定は行いますが、それだけではありません。ただ枝を切るのではなくその後の樹形を作るための枝葉の出方のように後々の姿を予想しながら行います。樹形を作ることと維持することに大きな役割を持つ剪定ですが、樹の成長に勢いをつけるためにも大切な作業です。

日光と風を最大限に活用する

成長してくると勢いがよい樹ほど枝が混み合ってきます。日光が枝や幹に均等に当たり、株元にまで差し込むようにしないと樹勢が弱くなってきます。風通しも同様で、枝が混み合うほどに通風が悪くなり蒸れて樹の体力を奪います。剪定をすることで芽が出る数も当然増えますが、日光と通風を活用するためには「間引き剪定」をすることになります。枝葉を透かして幹や株元にまで村がなくなるように、込み合った枝や「忌み枝」を間引いて全体のバランスを取ります。生育中だけでなく、生育が弱い冬の間にも作業します。

ヒコバエと忌み枝

ウメモドキなどはヒコバエが出やすい樹種とされています。「ヒコバエ」とは樹木の根元や切り株から生えてくる若い芽のことです。ヒコバエは顔を出した時にすぐ落としておかないと、伸びだしてからは急速に成長して盆栽の幹元の格好が悪くなります。

「忌み枝」とは美観を損ねる枝で、基本的に必要のない枝のことです。常に樹形を観察しながら忌み枝を剪定していくことで美しい樹形が維持できます。

枝数を増減して樹形を作り上げる

苗木などの若木をよく見ると、枝葉の付け根に芽が顔を出していることがあります。芽が出ている上をハサミで切ると、やがて切り口下の目が伸びだします。勢いの良い枝なら剪定することで脇芽を出して枝数を増やすことができます。「頂芽優勢」といって、枝の下の方よりも先に向かうほど芽が出やすくなります。

剪定は樹形を作り上げる大切な作業ですが、お手本通りというわけにはいきません。盆栽にする樹は自然の生き物で個性があります。その個性を生かしつつ樹形を作れるように、常に観察を怠らずに忌み枝を剪定しながら正面がどこなのかなどを考えながら行います。マツやサクラなど、その樹らしく見えるということが大前提なのです。

樹形を保つため

生育期にはあっという間に枝葉が伸びだし、気が付いたら求めていた樹形とは程遠いものになっていることがあります。それほど生育期には勢いがよく樹形がかんたんに崩れます。花ものや実ものでは注意が必要で。花芽を形成する時期に誤って剪定をしてしまうと翌年の花芽がつかなくなります。このため、樹種ごとの剪定ができる時期を確認してから剪定するようにしましょう。
生育期間中にも剪定は行えますが、徒長した枝がどの程度の勢いかによっては強すぎる樹勢を抑える効果もあるのであまり強すぎる剪定はしないようにします。芽摘み程度にとどめて寒くなってからの剪定で樹形を決めるようにしましょう。

枝の出方は3種類あります。交互に出る互生・対になる対生・1か所からいくつも出る輪生です。この枝の出方が規則的なのはある程度の樹齢までで、古木になると少しずつ弱った枝が枯れていきます。輪生などは特にわかりやすく、枝の数が減ることで一層の古木感が出てきます。この古木感を出すための剪定もあります。樹形を見ながら枝を間引いて古さを表現します。

樹にとって生きていけないほどの強剪定をすると不定芽が出てきます。これはダメージを自分で回復して生きていくための樹の生命力です。特に枝葉をすべて落とすほど切り詰めると、幹から芽が出てくることがあります。樹種にもよりますが、太幹で樹高を低くする場合にこのような切り戻しを行うことがあります。おもに落葉樹に施しますが、かなりの体力を蓄えた樹にしか行えません。

スッキリさせたいからといって切りすぎたり、切らなすぎたりでは樹の魅力を失うだけでなく勢いまでそいでしまうことがあります。重要なのは日ごろから芽の出方や枝葉を観察することで、樹形を作る眼を養うことです。