雑木盆栽(ぞうきぼんさい)は山野の春夏秋冬すべてを鑑賞することができます。盆栽鉢の上で春の芽吹きから深緑、秋には紅葉を楽しむのが雑木盆栽の魅力です。醍醐味はそれだけではなく、落葉してしまった冬には繊細な枝先すべてにまた違った趣のある盆栽になるのです。

「もみじ」と「かえで」の違い

雑木盆栽の中でも「もみじ」は人気が高い樹種です。紅葉と言えば「もみじ」ですし、秋には「もみじ狩りに行く」という方も多いでしょう。でも「イロハモミジ」や「イタヤカエデ」など、盆栽でも人気の高い樹種には「もみじ」と「かえで」が混在しています。一体何がどう違うの?と初心者は迷ってしまうものですが、実はどちらもカエデ科カエデ属、植物としては分類上同じなのです・・・
「もみじ」と「かえで」という名前は葉の見た目によって使い分けられています。葉が深く切れ込んでいるものを「もみじ」、切れ込みが浅いものを「かえで」と呼んでいます。
「もみじ」は秋に黄色や赤に色が変わることから、その色変わりする様子を表わす動詞の「もみず」に由来しているとも言われています。「かえで」の中でも葉が深く切れ込んでいて紅葉するものを「もみじ」と呼び分けているのです。

樹肌が美しい楡ケヤキは初心者向き

「楡(にれ)ケヤキ」は街路樹でよく見かける大きなケヤキと同じニレ科の樹です。落葉高木でケヤキよりも繊細な葉と小枝が緊密に生えることが特徴です。とても丈夫な樹で芽吹きも良くて成長も早いと来れば育てやすさ抜群です。長年育てていると荒れた樹肌の美しさが際立ってきますし、樹形が崩れにくいのも良いところです。冬の落葉した姿にはとても趣があって、いつまでも眺めていたくなるような樹種です。葉が茂りやすい反面強い剪定にも耐えるので、樹形をいろいろと楽しめる楡ケヤキ。ミニ盆栽にしても大木の雰囲気を感じられます。

紅葉の色変わりが美しい「森の女王」ブナ

落葉高木のブナはその雄大な姿から「森の女王」と呼ばれます。秋には緑の葉が黄色くなり、やがてオレンジから赤を経て金茶色に変わります。個体差が大きく建築材料に向かないことから「無駄な樹」と言われていた不遇の時期もありますが、現在では森林保護のシンボルのような樹になっています。1993年には白神山地のブナ林が世界自然遺産にも登録されました。
灰白色の幹はなめらかで、年月を経るごとに苔などが付着して大自然の面影が漂います。5月ごろ新芽と共に花が咲き、秋には茶色のイガをまとった愛らしい実が付きます。高カロリーな実は山の生き物の格好のエサですが、人間も食べることができるので煎って食べてみてはいかがですか?

生きている化石:イチョウ

黄金色の葉を広げるイチョウは馴染み深い樹ですし、実のギンナンを食することで親しみもあります。一属一種だけが現存し、中生代に栄えた裸子植物では最古のイチョウはまさに生きている化石です。神社などで見かけるイチョウの古木からつららのように伸びた突起を見たことがありますか?これは「チチ」と呼ばれる気根のようなものだとも言われていますが、実はどのような役目があるのかはわかっていないようです。小枝が出にくい性質はありますが強い剪定をしてもたくさんの目を出す生命力の強さがあります。「公孫樹」という別名は結実するには孫の代までかかるという年月の長さを物語っています。盆栽鉢に寄せ植えしてイチョウ並木を作ってみるのも良いですね。

雑木盆栽の代表的な樹をあげましたが、他にも白い椿のような小花が愛らしいヒメシャラや葉が真っ赤に色づくハゼなども人気の樹種です。雑木盆栽は森林そのものを表現できる醍醐味を存分に味わえます。