寄せ植え盆栽とは
林や森をイメージするように複数の植物を鉢に植えた盆栽です。
バランスよく若い木を組み合わせると、まとまりのある美しい景色ができあがります。
1本で仕立てるような個性ある木はふさわしくありません。
何の変哲もない木を集め、美しい風景を映す寄せ植え盆栽を作ってみましょう。
寄せ植えの盆栽用土の作り方
赤玉土8に川砂が2という基本用土に、樹種に合わせ配合を変えます。
雑木類は基本配合のままでよいですが、松柏類に対しては川砂の割合を増やします。
寄せ植え盆栽に合う鉢
いくつかの木を並べて植えるので、面積の広い鉢が第一条件になります。
楕円形や長方形で浅い鉢に植えると、広がりのある樹林の様子を再現できます。
色合いを重視したければ、紅葉や新緑の葉の色を考えながら決めると間違いありません。
松林を再現したいのであれば、浅い焼しめた鉢が合うのでおすすめです。
寄せ植え盆栽の作り方と二つの型について
①
・雑木林型の寄せ植え
ケヤキが平野に林立する様子を思い浮かべてください。
おだやかに育った木が並ぶ林は、静かで落ち着いた雰囲気です。
幹はまっすぐに伸び、枝も四方に広がっています。
水平に広がる林を、面積のある楕円鉢の上に見立てます。
おとなしい浅い鉢であるほど、広々とした景色を見せてくれるでしょう。
・雑木林型の寄せ植え盆栽の作り方
主木となるまっすぐな大きい木を1本と、それより小さい木を数本用意します。
枝が斜め上方に向かって伸びている木を選ぶと広がりのある空間が作れるでしょう。
鉢の中に中心部を決め、そこに主木を置きます。
中心部は鉢の左右どちらかに片寄らせることがポイントです。
そして、主木のまわりに小さい木を外へ向けながら植えつけていきます。
主木は天へ向かって伸び、まわりの木は外側へ向かうことで広がる風景が再現できます。
②
・松林型の寄せ植え
松が海岸沿いに並んでいる風景を作る型です。
海からの強風で幹が傾き、枝も片側に吹き流されています。
風に負けまいとする根は大地をしっかりとつかみ、松の木全体からは力強さがあふれています。
・松林型の寄せ植え盆栽の作り方
幹や枝が変化に富み、ごつごつとして力強い素材を選びます。
景色に変化をつけるため、大きさの違うものを数本用意しましょう。
幹を大きく傾けて、潮風に吹きつけられている情景を想像しながら植えつけていきます。
枝も、幹の傾いているほうに伸ばすようにするといいでしょう。
鉢の一方に片寄せて植えるのがコツです。
植えつけた足もとの土を小高く盛ることで、力強い根の張りが強調されます。
一番大きい木を端に位置させ、すべての木の上にかぶせるように倒すことが大切です。
素材には黒松が一番しっくりきますが、手に入らないときは、エゾ松、杜松もいいでしょう。
寄せ植え盆栽の遠近感を出すには
奥深い林の様子を出したいのなら、大きな木を手前に小さい木を後方に置きます。
小さい木の幹を気持ちだけ外側に倒すと、広がりが出てきます。
寄せ植え盆栽の変化と調和を出すには
性質の違う木の組み合わせで、おもしろい調和が出せます。
慣れないうちは、同種の木を使い、大きさの違うものを組むことで変化を楽しみましょう。
植えつける位置は中央に集めるのではなく片側に寄せます。
また一つの鉢の中に、静と動の要素を持たせることが大切です。
力を感じる木、弱々しい細い木の集まりをバランスよく配置しましょう。
鉢を上から見て、植えられている木の位置が、不等辺三角形になっているのが理想です。