盆栽の楽しみは「育てる」「眺める」ですが、実もの盆栽はさらに「収穫して味わう」ことがプラスされます。春には新芽が出てやがて開花時期を迎え、花を楽しんだ後は小さな盆栽にみずみずしい宝石のような果実が実るミニチュア果樹園ですね。目に鮮やかな色どりで、女性に人気の実もの盆栽をご紹介します。

春から冬まで、楽しみが長いヒメリンゴ

4月ごろ、淡いピンクのつぼみを付けて純白の花を咲かせるのがヒメリンゴです。夏は青々と葉が茂り、寒くなるころに実が赤く色づきます。花の咲き方はまさに「樹いっぱい」というほどの勢いで、樹が純白に覆われやがて緑の可愛い実が下がります。受粉作業をする必要はありますが、カイドウや他の品種のリンゴをそばに置いておくと実付きが良くなります。小さな樹を懸崖に仕立てると本当におもちゃのような楽しさがあるヒメリンゴの実は本当はあまりおいしくありません。水分が少なく酸味がかなり強いのが特徴ですが、食用の「国光」と交配した「姫国光」という品種は食用にしてもおいしいヒメリンゴです。

白い冬を彩るピラカンサ

鮮やかな赤や柿色の鮮やかな実が積もる雪の間も絶えることがありません。実の多さだったら誰にも負けないというほど実付きが良いところがピラカンサの特徴です。5月ごろ白いビーズ細工のような小さな花を毬のようにたくさんつけます。病害虫には大変強いため保護する作業は必要ありませんが、花の数だけ付く実を取りが食べに来るので鳥よけだけは必要かもしれません。強健な性質はどんな強い切り戻しにも耐え、短い枝からも開花して実をつけるので様々な樹形に育てることができます。とても育てやすいので初心者向けの樹種です。

カリンの実の大きさにびっくり!

黄色のカリンの実は大きくなると10センチほどになります。天に向かって実が付くことから縁起が良いと言われていますが、小さめの盆栽にカリンの実が付くとまるで分母より分子が大きい仮分数のような面白さがあります。黒い光をたたえた灰色の幹肌と細かい針のような枝葉は、そこにあるだけで十分すぎる存在感です。春には紅色の花と青葉、秋には落葉した枝に鮮やかな黄色の実が残り四季を通じて楽しめます。一才カリンは自家不親和性なので、もう1本一才カリンをそばに置くことで結実します。生食はできませんが、焼酎などに漬け込んでカリン酒にしておくと咳止めなどにも利用できます。

個性を追求するならアケビがおすすめ

秋になると淡い紫色の実をつけて、成熟すると紫の皮が開いて白い果肉が見えてきます。少し白みがかった実は10センチぐらいの長円形で、蔓で枝からぶら下がります。花は雌雄異花で雄花は白い蕚から紫の丸まった雄しべが、雌花は淡紫色の蕚と濃い紫の蕚が放射状に出ています。花色も実の色も淡い水墨画を見ているようですが、その実が付いた姿は個性的としか言いようのない味わいです。白アケビは花も実も淡いクリーム色の美しい品種です。実は食用にすることができ、昔から日本人にはなじみの深い樹種です。

実の可憐さと紅葉が魅力のマユミ

古くから日本の山野に自生するマユミ(真弓)はゆがみが少なく耐久性が優れていることから弓の材料とされていました。落葉性の中低木で性質は強健、強めの剪定をしても良く芽吹くため育てやすい樹です。5月から6月ごろに淡緑色の細かい4弁の花を咲かせ、秋から冬にかけてとても可憐な実をつけます。淡い紅色の実がたくさんぶら下がり、熟すと割れて真っ赤な種がのぞきます。少し成長に時間がかかる「シロマユミ」という品種は白い実から赤い種がのぞくというとても美しい色彩が印象的です。マユミのもう一つの魅力は紅葉する点で、褐色がかった黄色に葉が色づき落葉して赤い実が残るとても美しい樹です。

実もの盆栽の樹種をご紹介しましたが、他にも香り高いクチナシやジャムにするとおいしい真っ赤なユスラウメなども人気があります。いろいろな実もの盆栽を集めて、寒い冬の果実を楽しんでみてはいかがですか?