世界的に知られる盆栽界の巨匠木村正彦氏

木村氏は盆栽家というよりは、アーティストに近いかもしれません。

従来の長い年月をかけて仕立てるという盆栽の伝統を覆す新しいアプローチの仕方は、当初盆栽界では異端児として扱われました。

彼は電動工具を駆使し時には彫刻を施し、その独創的なインスピレーションに導かれるまま、作品を創り上げていきます。

発明家だった父親の影響を強く受け、常に他の人がやったことがない新しいことに挑戦してきた木村氏は盆栽に革命を起こしました。

360度どこから見ても美しい圧倒的な存在感を放つ彼の数多くの作品は内閣総理大臣賞や国風賞を受賞し世界中のたくさんの人々を魅了しています。

不動の人気・真柏とは

木村政彦氏の盆栽は真柏(シンパク)を主としています。

真柏はヒノキ科の常緑針葉樹で、イブキやビャクシンの仲間です。盆栽には、葉性が細かくて細かい糸魚川真柏が人気で葉が太い紀州真柏もあります。

「金性」「銀性」「絹糸性」と呼ばれるものは糸魚川真柏の中でもさらに葉が細く細かい小葉性ものです。

真柏は挿木で簡単に増やすことができ丈夫で初心者でも育てやすい品種ですが、針金整枝に強くあらゆる樹形に仕立てることができるので上級者まで幅広い人気があります。

松柏類の中では松と並んで代表的な樹種です。

木村氏の主な作品

・真柏 銘「飛龍」

盆栽界の神の手で甦った神様の樹と呼ばれる樹齢2000年!明星山最後の逸材

・真柏 銘「登龍の舞」

名匠・木村正彦を世に知らしめた改作

・杜松 銘「白帝」

木村正彦の豪胆な切り込みが生み出した風格

・天地逆転の真柏

枯死寸前から奇跡の復活を遂げた作品

その作品の中でもひときわ目をひく有名なドラゴンという作品が「登龍の舞」です。白く残った幹は骨のように見えることから〝仏の骨〟を意味する『舎利』と呼ばれています。

この舎利がまるで龍のようでとても迫力があります。

硫黄を混ぜた液体を塗ることで、気が腐るのを防ぎ害虫から木を守り白く美しい舎利を作っていきます。

茶色の幹は生きていて『水吸い』と呼ばれます。

生きている茶色の幹と舎利のコントラストをくっきりつけることで、既に枯れて白くなった幹と茶色く生きている幹が複雑に絡み合い生と死が一体となって長い歳月と独特な風格を表します。

木村正彦氏の盆栽園

埼玉県北足立郡伊奈町小室にある木村氏の盆栽園はまるで博物館のよう。広大な敷地に有名な盆栽の数々が並んでいます。

私園ながら、大宮盆栽美術館や清香園と並び日本で訪れるべき盆栽園3選に数えられることもあるほどです。

通常、一般には公開されていませんが依頼をすれば訪問・見学することができます。

先に触れたドラゴンはもちろん、なかなか一般公開されることの少ない貴重な作品や運が良ければ作成中の作品なども見ることができるのでぜひ一度訪ねてみてください。

世界に羽ばたく木村氏の弟子達

現在木村氏は海外でのデモンストレーションなどの活動はほとんど行っておらず、この自宅の園で主に弟子の育成や作品作りに精力的に取り組んでいます。

木村氏の元には国内外を問わずその作品に魅了された若い世代が高い技術力と芸術性を学ぶために集まっています。

修行は6年間に及び、盆栽に関することだけではなく礼儀や作法に至るまで教育される厳しいものです。

しかし、木村さんの元で学んだ多くの弟子はデモンストレーションなどを行い世界中で盆栽の技術や魅力を広めています。