花の咲く盆栽は四季を通じて変化を楽しむことができます。
花もの盆栽の種類と親しまれる樹種の特徴について学習します。

花もの盆栽と種類

桜、梅、レンギョウ、ハギ、エゴノキ、ノイバラなど様々な樹種があり、木の姿と合わせて色とりどりの花を楽しめるものが花もの盆栽です。

花には鮮やかなもの、可憐な小花、花色は地味でありながら素晴らしい芳香を放つものと個性があり、花の後には実がつく木が多いのも好まれる要素になっています。

サツキの花もの盆栽の特徴

花もの盆栽で一番人気のある樹種です。
樹勢の強さ、品種の多さ、仕立てやすい上に苗木も安く手に入れることができます。
また白、淡いピンク、濃いピンク、赤と青葉が美しい季節には色とりどりの花を咲かせ、秋には紅葉も楽しめる木です。

ツツジ科の半常緑低木で、豊富な品種はおよそ2000種あります。
模様木、懸崖、直幹、寄せ植え、石付きとあらゆる樹形に仕立てることができるサツキは花もの盆栽として一つは所有しておきたい盆栽です。

細かい枝と太い幹、小さい葉がついた苗木を見つけたら手に入れましょう。
水やりは花を避けながらたっぷりと与えて、春先の3月と花が咲いた後から10月まで玉肥を月に一度のペースで施します。

黄梅の花もの盆栽の特徴

2月に黄色いラッパ状の花を咲かせます。
早春に開花することで迎春花とも呼ばれる黄梅なのですが、じつは梅ではなくジャスミンの仲間です。

花に香りがないのは残念ですが虫がつきにくく丈夫な樹種なので愛好家が多いです。
幹は何年持ち越しても太りにくいわりに、根は大きくなるので石つき盆栽に仕立てるとおもしろいでしょう。

乾燥気味の環境を好み、湿気に弱いので水やりは根腐れしないようなタイミングでおこないましょう。
枝は真っすぐに伸びる性質をもっていますので、新しい枝が出たときに針金をかけ秋になったら外します。
枝の発根率は高く、どのような時期に挿し木にしても成功します。

ボケの花もの盆栽の特徴

寒い時期に開花し、花の少ない早春から楽しませてくれるボケの花もの盆栽は万人に愛されている樹種です。
赤や白、一重に二重咲きと豊富な種類があること、花の時期が長いことのほかに仕立てが簡単で丈夫という理由で初心者でも扱いやすい木とされています。

寒ボケと春ボケの2種に大別され、トゲとふちに細かい鋸歯がある楕円形の葉がついています。
白や紅色の花をつける寒ボケは1月の初めから咲き始め、春ボケは3月の上旬から4月下旬まで大輪の花が見られます。

乾燥に弱く、水を切らすと葉が落ちることがあるので、水やりの時間には配慮しましょう。
施肥は3月から10月の間におこない、月に一度玉肥を鉢のふち付近に置きます。
木の根元から若い芽が次々と出てきますので、多幹樹形の盆栽が作りやすいです。

サンザシの花もの盆栽の特徴

中国原産の落葉低木に種別され、やわらかい紅花の八重咲きが多い花サンザシと大きな白い花をつける実サンザシが盆栽では見られます。
花の後には赤い実をつけるので4~5月には花を楽しみ、9月に入ったのち実を鑑賞することができます。

短い枝に花芽がつくので剪定のときは短枝は切らないようにして、横に同じサンザシの盆栽を一鉢置くとよく受粉し実がつきやすくなります。

樹形は模様木や斜幹、懸崖で仕立てると姿がよくなるといわれていますが、名品といわれるものにも模様木、斜幹が多く見られます。
鉢土が乾いたらたっぷり水をやり、植え替え時には元肥を混ぜ、花の後には液肥を与えるようにするといいでしょう。

巨匠の思いが結実している

盆栽界の巨匠・小林國雄氏が館長の春花園BONSAI美術館は、2002年4月3日にオープンしています。日本の伝統文化を表現する盆栽は、日本が世界に発信できる芸術として、新たに注目を浴びています。美しさと秘められた自然の荘厳さ表現した盆栽。この素晴らしさをより多くの人に味わってもらおうという思いを結実させた美術館です。美術館の場所は東京都と千葉県の境にある東京・小岩で、JR小岩駅からバスで20分ほどの閑静な住宅街の中にあります。
小林國雄の春花園BONSAI美術館のデータ
住所:〒132-0001 東京都江戸川区新堀1-29-6
電話:03-3670-8622
アクセス:JR総武線小岩駅南口下車京成バス76番より乗車京葉口下車
都営新宿線瑞江駅下車京成バス76番より乗車京葉口下車
入館料:一般・800円(お茶付き)、学生・600円、その他団体割引あり
開館時間:AM10:00~PM5:00
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)

館長・小林國雄の紹介

盆栽は四季折々の植物の美しい表現を見せてくれるとともに、修羅場に生きる命の尊厳を私に教えてくれると、小林氏は言います。彼は盆栽を始めて30年が経ち盆栽に魅せられ続けた結果、美術館まで造ってしまいました。盆栽の表情らしさを世界に広めたいとの願いを持ち、日本のみならず、海外からの弟子育成に励んでいるようです。各種受賞経歴は次の通りです。
「日本盆栽作風展」
内閣総理大臣賞では、1989、1992、1999、2001年受賞。
文部大臣賞では、1994、1996年受賞。
農林水産大臣賞では、199年受賞。
環境大臣賞では、2000年受賞。
毎日新聞賞では、1997年受賞。
日本花いっぱい協会賞では、1985、1990年受賞。
日本盆栽協会賞では、1998受賞。
「国風展」では、第16回の国風賞を手掛け、200人以上の国風展入選者を育てています。
「皐樹展」の皐樹展大賞では、1992、2003、2005、2007、2010年受賞。
日本文化振興会より「国際芸術文化賞」を2001年受賞。
江戸川区より「文化奨励賞」を1989年受賞、「文化功績賞」を1999年受賞。

館内の雰囲気

美術館の建物は築30年ほどの日本家屋で、敷地はかなり広く邸宅の雰囲気があります。盆栽をより美しく飾るために「盆栽の雰囲気に圧倒されない」「盆栽の存在感に負けない」建物というコンセプトで、建物に使用する木材などはかなりのこだわりがあるとされています。古くから佇んでいるような存在感のある建物で、落ち着く空間となっています。館長の小林氏が、盆栽界に入るきっかけとなった「奥の巨松」一番目を引くようです。この盆栽の樹齢は1000年あり、この素晴らしさに感動してこの世界に入ったとされます。しかし、「奥の巨松」は一時期枯れそうになり、土を植え替えて何とか回復させたとのことです。日本の盆栽の魅力を目、耳、鼻、そして自分の手で体験できる施設として優れています。広々とした日本庭園の中に、所狭しと盆栽鉢が置かれ、盆栽の美しい造形を鑑賞できます。気に入った盆栽が見つかれば、購入することも可能となっています。しかし、中には数千万円を超えるような高級な盆栽もあるので、傷つけないよう手で触れるのは控えた方が良さそうです。また春花園のもう一つの魅力は、日本人はもちろん、外国人観光客も気軽に参加できる「盆栽教室」です。講師は日本人ですが、英語や中国での対応も可能となっています。参加料は1回3000円で、道具や講習用の盆栽は用意されています。

盆栽の見方が変わる

和のテイストがたっぷりの美術館内の美しい空間は、中を歩き回るだけでも、都会の喧騒を忘れて、心が満たされるはずです。盆栽は何が良いのかわからない、盆栽作りはなんだか大変そう、こんなイメージを持っている方も、ここに来て、園内の盆栽を見て回れば、考え方が変わる可能性が高いと言えます。またこの美術館は、職人さんたちの手仕事が間近で見られるところにも魅力があるようです。この手作業を見ているうちに自分でもやってみたくなる人が多いと言われています。盆栽鉢の数も圧倒的で、見渡す限り盆栽、所狭しと盆栽があり、様々な盆栽をじっくり鑑賞できます。盆栽を始めようとする人や、盆栽にハマっている人にとっては、楽園のような所かもしれません。