盆栽に使う苔には、「使っても良い苔」と「使ってはいけない苔」が」あります。「使ってはいけない苔」は盆栽の天敵となり、盆栽の生育を妨げて枯らしてしまう恐れもあります。

盆栽に「使っても良い苔」

苔は盆栽の樹木を盆栽鉢の中で引き立たせたり、落ち着かせたりしてくれる大きな役割を果たしてくれますが、存在が地味なためにあまり多くの種類や名前は知られていません。今日その種類も数万以上あると言われていますが、盆栽愛好家でも正確な名前を把握している人も少ないです。

数万種類もあると言われている苔の中で、盆栽に「使っても良い」主な苔は、ハリガネゴケ科のギンゴケ、タチゴケ科のサワゴケ、センボンゴケ科のネジクチゴケ、スギゴケ科のタチゴケなどです。

ギンゴケは別名「ビロードゴケ」とも呼ばれています。キンゴケの生育が良い状態の時はこの苔が、盆栽鉢の上にビロードが盛り上がったように張っています。ギンゴケは盆栽の土の上に古い風情のある趣を与えて樹木を引き立てる効果が高いので盆栽に使う苔の種類の中では、多く使われています。陽当たりが少ない所で生育している若いギンゴケは、鮮やかな緑色をしています。雨上がりの後にこの苔を見ると、緑色をした苔が一層鮮やかに見えます。しかし、陽当たりが良い所で生育している古いギンゴケは、対照的に暗い灰色をしています。古い古民家の石垣の石と石の間に生えている苔は、比較的ギンゴケが多いです。

サワゴケは、姿や形にとても気品がある苔です。また、とても繊細で黄金色の輝きを持っているのでこの苔を盆栽鉢の土の上に張ると、盆栽の樹木だけでなく盆栽全体が一際美しく見えます。

ネジクチゴケは、家の周辺にあるコンクリートの上や石垣、そして家の庭などに群生している苔なので、一番身近なところで見つけることができる苔です。この苔の魅力は、苔の色が美しい濃い緑色をしていますが、古くなると黄緑色に変わっていくところです。この苔の色の変化が古木の盆栽にマッチするので、一層古木の盆栽の魅力を引き立たせてくれる苔です。

タチゴケは、生育している環境によって丈や大きさも異なりますが、比較的丈の低いものが盆栽に使われています。タチゴケは、神社がお寺の境内にある日陰の場所や自然公園の湿地など、身近な所に群生している苔です。

盆栽に「使ってはいけない苔」

盆栽に「使ってはいけない苔」の代表的な品種は、ゼニゴケ科のゼニゴケです。ゼニゴケは盆栽の樹木の生育を妨げるだけでなく、やがて樹木を枯らしてしまう原因を引き起こしてしまう恐れがある苔です。そのためゼニゴケは盆栽の天敵的存在なので、絶対盆栽に使ってはいけない苔です。ゼニゴケは庭の周辺にある多くの場所に群生しているので、盆栽鉢の土の上に張らなくても風によって胞子が運ばれ、土の上に着生して育つことがあります。盆栽鉢の中でゼニゴケを見つけたらすぐに除去することが大事です。

一般的に盆栽に「使っても良い苔」は、盆栽鉢の土の水はけが悪かったりすると枯れてしまいます。しかし、この地衣類のゼニゴケは水はけが悪いと、逆に増えてしまう特性を持っています。

ゼニゴケを除去する場合は、丁寧に盆栽鉢の土の上をピンセントで少し掘り返しておくと効果があります。どの種類の苔も土の上に張り付いているので、剥がして除去することが基本です。ゼニゴケは、アルカリ性に弱いので石灰などを上から散布することも効果が期待できますが、盆栽の樹木の生育に影響を及ぼす可能性があるので、根気強く剥がして除去することが一番安全です。

苔は盆栽の美しさを引き立たせてくれる効果があります。しかし、苔を盆栽鉢の土の上に張る場合は、「使っても良い苔」と「使ってはいけない苔」の見分けて使うことが、大事なポイントです。