猛々しい姿や荒れた幹肌を作るために、松の盆栽の多くは砂を多く配合した砂土で育てます。
盆栽用の砂の種類や性質、使い方について学びます。

松の盆栽に砂が適している理由

水の切れやすい過酷な環境は、松柏類盆栽の特徴である幹の荒々しい味わいや厳格な風格を作り出すことができるので、松の盆栽作りには水はけに優れた川砂を使用することが多いです。

水のない環境で、松がどのように変化していくのかを追ってみましょう。
まず乾燥しがちな土壌に植えられた木は、生き延びるため根を長く伸ばし始めます。
ですが厳しい環境下ですべての根が伸びることはできないので、強い根だけが残り、ほかの根は枯れていきます。
土中の根の様子と幹から生えている枝の姿には相関関係があり、力強い根が一本残っているような木の幹からは、ごつごつとした枝が数本、勢いよく伸びています。
このような木の姿には厳格な風格が生まれ、素晴らしい松柏盆栽だといわれるようになります。

松盆栽に適した川砂の性質と使い方

川砂は通常の培養土のような肥料成分はほとんど含まれていませんが、水はけの良さが大きな魅力になっており、使いやすい盆栽用土として昔から好まれています。

西日本から産出される川砂は多く、盆栽家に根強い人気の天神川砂や近畿地方でとれる白川砂は有名です。
上記のほかに静岡県の富士川砂や安倍川砂、愛知県の矢作川砂などがあり、岡山県からは岡山砂がとれます。
砂と名の付くものに桐生砂、富士砂、浅間砂などがありますが、こちらは火山地区でとれるもので、川砂とは別に火山砂といわれています。

松盆栽の使用に適した良い川砂とは

良質な砂として好まれている天神川砂は内部に細かい穴が無数にあり、どのような大きさのものでも手で割ることができます。
まるでスポンジのように穴が点在しているので、水を含ませれば水持ちが良い反面、水はけに優れ通気性も高いのが特徴で、根の生育に適した砂です。

天神川砂にはもう一つ人気の要因があり、それは色彩の美しさにあります。
灰白色を基調とした砂の中に様々な色の粒が含まれ、それが独特な魅力のある色調を作り出しています。
ですから、この砂は木の育成のための用土として使用するだけでなく、盆栽の鑑賞ポイントの一つとして使うことが多々あります。
乾いた状態の色彩の良さもさることながら、水に濡らすことで生まれるしっとりと落ち着く風情は、植物の幹や葉の緑にも映え、盆栽の美しさを際立たせてくれます。
ですがこの砂がとれる天神川は小さい川なので、天然物の保護のため現在は採種禁止になっており、入手が困難になりつつあります。

松柏類盆栽の砂土の配合と植え替えについて

・赤松
赤玉土7:桐生砂2:川砂1
3~4年に一度、ロウソク状の芽が動き出して伸びきる前までの3月中旬~4月下旬に植え替えを実施します。

・黒松
赤玉土5:桐生砂3:川砂2
赤玉土は通常のものではなく、高温で焼かれ時間が経っても崩れにくい硬質赤玉土を使用し、およそ3年に一度、3月中旬~4月中旬に植え替え作業をします。

・真柏
赤玉土7:桐生砂2:川砂1
3月上旬~4月中旬の木の様子を見て、葉や芽の緑が濃くなったときに植え替えます。

・五葉松
赤玉土7:桐生砂2:川砂1
植え替え頻度は3~4年に一度が丁度よく、3月中旬~4月中旬にロウソク芽が動き出す直前におこなうようにしましょう。

・杜松
赤玉土6:桐生砂3:川砂1
ほかの松柏類盆栽よりも遅い4月下旬~5月下旬が適期で、梅雨入りまでは終わらせておきましょう。