日本独自の盆栽はいまや「BONSAI」として海外からも珍重されています。もうお父さんの趣味の域を超え、若い人たちも雑貨店やホームセンターなどで苔玉やミニ盆栽をインテリアとして購入し育てています。育て方の8つのポイントを覚えていれば、お気に入りの盆栽を手に入れて育てることができます。樹種によってはたくさんの作業やコツが必要になりますが、ここでは初心者さんが覚えておくと便利な「盆栽8つの基本ポイント」をご紹介します。

手に入れたい樹種と選び方のポイント

初めての盆栽を育てるにはまず選び方が肝心です。いろいろな選び方がありますが、一番大切なのは自分が「好きだ」と思えるかどうかです。なんにでも言えることかもしれませんが、いくらすすめられても好きでないものは長くそばには置けませんね。大きさや四季の変化を楽しめるかどうかなど、惹かれる点が多いものの方が育て買いも出てきて愛着がわくものです。
次に、盆栽に大切な手入れのための作業がたくさんあります。まずはその手入れの難易度がどの程度かという点です。難易度が低めのものから選ぶようにしましょう。

<ベニシタン(紅紫檀)>

寒暖差に強くとても丈夫で選定などの作業も簡単です。型にはまった選定や針金かけをしなくても、自然な樹形でじゅうぶん楽しめます。白い花が秋になるとたくさんの赤い実になり、四季を通じて観賞できる樹種です。

<モミジ>

モミジは夏から秋にかけての紅葉が魅力的で芽の出る力が強い丈夫さも特徴です。いろいろな樹形を楽しみやすい樹種です。とくにヤマモミジが性質が強く育てやすいです。

<ベニマンサク(紅満作)>

丈が小さいうちはピンクのハート形の葉がとても大きく見えて可愛らしい姿です。濃い紅色の花が落葉と共に咲いて実がなります。

<クロマツ(黒松)・ゴヨウマツ(五葉松)>

松は防風林にもなるほど強健な性質です。初心者のうちは水やりや芽摘みなどがなかなかできなかったりしますが、それでも枯れずに頑張ってくれるおすすめの樹種です。「男松」とも呼ばれるクロマツは荒っぽい風貌が魅力です。ゴヨウマツは盆栽を基礎から学ぶために一鉢は持っておきたい「THEBONSAI]とも呼べる一品です。

<ウメ>

早春に開花する梅は室内に置いても美しく、小ぶりでも花がたくさん咲きます。香りも良く幹肌は早くから古木の感じを持っているのが魅力です。暑さ寒さにも強く剪定も楽で育てやすい樹種です。

盆栽を作る道具の準備

盆栽を育てるには道具がたくさん必要そうで、どうやって揃えるか頭を悩ます方も多いでしょう。最低限必要なものとしてご紹介しますが、ホームセンターなどで買いそろえるにもちょっと手間がかかったり手に入らなかったりします。そんな時には通信販売を利用しましょう。セット販売しているところもあるので一気にそろえることもできてすぐに始めることができます。

<剪定ハサミとピンセット>

最低限この二つがあれば盆栽の形を作ることができます。日常の管理に必ず必要なハサミとピンセットは良いものを購入するべきとも言えます。ハサミはよく切れるさびにくいステンレスも使いやすいですが、打ち刃物の「鋼」で手のひらに収まるぐらいの小枝を切る用途のはさみがおすすめです。ピンセットは丈夫で腰が強い先細のものを用意しましょう。盆栽用として後ろにヘラが付いたものがありますが、これなら植え替えの時に利用できるので一石二鳥です。

<ジョウロ>

庭や畑のように植物の上からざぶざぶと水やりをするわけではないので、1リットルぐらいの小ぶりのものが良いでしょう。株元にそっと水をかけるので、注ぎ口が長くて細いものが適しています。室内で使う水差しでも代用できます。

<霧吹き>

水分を葉や幹に直接補給するために使います。夏場に発生するハダニなどの予防にも霧吹きは活用します。松などは葉水をやると青さを増すので使用する機会が多くなります。

<移植コテ>

いわゆるスコップです。植え替えや土を足したりするのには必要ですね。

植え付ける鉢と土

盆栽鉢は特殊な鉢ではありませんが特徴がそれぞれあります。常滑焼が盆栽鉢として珍重されていますが、近くのホームセンターなどで好みの鉢を見つけたらそれがあなたの盆栽鉢です。形だけにとらわれずに水はけの良さそうなものを準備しましょう。

用土は赤玉土と桐生砂・鉢底のごろ土を準備します。大方の樹種は基本的に赤玉土7:桐生砂3の割合で育てることができます。どちらも小粒のものを用意しましょう。また、通信販売で「松専用」とか「雑木盆栽」などそれぞれに適した配合のものを購入するのも良いですね。畑や野原の土を採取すると土壌菌などによって樹が育たないことがあるので、清潔なものを購入した方が良いです。

植え付け:購入した樹木を鉢に入れるまで

勢いの良い樹を購入するということが第一条件です。葉に一層の青みがあり、勢いがよく根が程よく張ったものを選びましょう。購入した時の鉢から抜く時は、根を傷つけないように注意します。抜いたら根の間の余分な土を落とします。道具は専用のものもありますが、菜箸などで代用できます。半分程度の土を落としたら盆栽鉢に入れる準備は完了です。

植え付け:土の入れ方

鉢底穴の大きさを確認したら「鉢底ネット」をちょうど良い大きさにカットして入れましょう。害虫の侵入を防いだり、用土が水やりで流出しないためにも必要です。次に鉢底用のごろ土を並べたら配合用土を3分の1ぐらいまで入れます。中央が山なりになるように入れたほうが根の間に土が入りやすくなります。その上に根をきれいにした樹を入れて、さらに用土を少しずつかぶせます。根の間にも十分に用土が入るように菜箸などで傷をつけないようにつついてみましょう。このあと水を張ったたらいなどに鉢ごと浸けて水分を十分に与えます。

苔や化粧砂で飾る

青々とした苔や真っ白い化粧砂で盆栽の足元を飾るのも楽しみのひとつです。これらも通信販売で購入することができますが、植え替え直後の樹は少し体力が落ちた状態です。温度湿度を保って用土で覆った根を保護するためにも水苔を張るのが良いですね。前日から水に浸けておいた水苔をハサミで細かく切って、手で少し絞ってから根元に張り付けます。これは2か月程度、樹が環境に適応したころ取り除けます。そのあとは苔でも化粧砂でも、好きなもので飾ってください。

覚えておきたいポイント

1.水やりは土が乾いたのを確認してから、鉢の底から流れ出るまでやります。

2.屋外の風通しが良いところに置きましょう。室内でも問題ない樹種もありますが、基本的には自然光の当たる屋外が適しています。日当たりが良い方が生育も良くなります。

3.基本的には「葉が伸びたら切る」「花が終わったら摘む」「害虫は退治する」がポイントです。どの程度の切り方が良いかなど樹種ごとの作業はありますが、日々観察しながら育てていると「このぐらい切った方が」というちょうど良さが自分でつかめてくるものです。

季節の管理

春から夏にかけてが盆栽が一番活動的な季節です。水切れや新芽につく害虫に注意しながらよく日の当たるところに置いてやりましょう。夏場は昼間に水をやると鉢の中はオーブン状態です。朝のまだ涼しいうちか日が暮れてからの水やりにするようにしましょう。秋になると生育もひと段落しますが、花がら摘みや古い葉をピンセットで引き抜いたりして、翌年の萌芽を促す準備期間です。冬はあまりにも雪や霜などで寒さが厳しい場合は軒下や屋内に取り込んでやるか、霜よけを立ててやるようにしましょう。

世界初・公立の盆栽美術館

さいたま市にある大宮盆栽美術館は、世界で最初にできた効率の盆栽美術館です。館内には旧髙木盆栽美術館のコレクションをはじめとした盆栽の名品や盆器、観賞石である水石などが数多く展示されています。

大正時代から盆栽文化が根付き、今では伝統産業にも指定されているさいたま市ならではの施設です。盆栽愛好家はもちろんのこと、最近では多くの観光客も足を運んでいます。

そんな大宮盆栽美術館には、美術館としての展示スペースだけでなく、ワークショップも充実していることをご存知でしょうか?ワークショップの内容は時期によって異なりますが、ここでは過去~現在に開催されてきたワークショップの例をご紹介しましょう。

大宮盆栽美術館のワークショップ:親子盆栽教室&鉄道博物館見学会

小学生とその保護者を対象としたワークショップです。大宮盆栽美術館内にある講座室で親子で一緒に盆栽作りを体験した後、同じくさいたま市内にある「鉄道博物館」をガイドの解説付きで見学します。鉄道博物館は、国内外の鉄道に関する遺産や資料がそろう博物館です。体験型のコーナーも充実しており、子供たちに大変人気あります。

埼玉県内でもトップの人気を誇る観光地である大宮盆栽美術館と鉄道博物館が同時に楽しめる、とてもお得なワークショップです。ちなみに鉄道博物館までの移動は無料シャトルバスを利用できます。人気があるため、参加者は抽選で選ばれます。

大宮盆栽美術館のワークショップ:盆栽ワークショップ

大宮盆栽美術館内にある講座室で開催される、定番のワークショップです。盆栽初心者でもわかりやすいよう、盆栽の基本を学びながら、剪定や植替えといったさまざまな手法を実践ます。プロの方の指導のもと自分だけのオリジナル盆栽が作れると大人気のワークショップです。月に2回を同日に実施するケースがほとんどとなっています。盆栽のテーマは月ごとに異なり、「桜盆栽」の月だったり、「松竹梅の植え寄せ」だったりとさまざまな内容が楽しめるので、何度参加しても楽しめます。

応募は大宮盆栽美術館の受付まで直接行くか、郵便ハガキにて行います。希望するワークショップの約1か月前には受付が終了してしまうので、早めに公式ホームページで情報を確認しておきましょう。なお、こちらも参加者は抽選で選ばれます。

大宮盆栽美術館のワークショップ:盆栽アカデミー文化講座

盆栽アカデミー文化講座は、市民会館おおみや、あるいは大宮盆栽美術館で開催される連続講座です。座学形式の講座を通して、庭園史や園芸文化史などを学び、盆栽文化についての深い知識を身に付けることができます。講師はその道のプロである大学教授が務めるので、熟練の盆栽愛好家も十分に楽しめるでしょう。講座は1テーマにつき約90分を予定しています。応募は大宮盆栽美術館の受付まで直接行くか、郵便ハガキにて行います。費用が無料ということもあり競争率が高く、参加者は抽選にて選ばれることが多いようです。

大宮盆栽美術館の概要

住所:埼玉県さいたま市北区土呂町2-24-3
TEL:048-780-2091
【開館時間】
3月~10月:9:00~16:30 ※入館は午後4時まで
11月~2月:9:00~16:00※入館は午後3時30分まで

【休館日】
木曜日(祝日の場合は開館します)
年末年始、臨時休館日あり